蒼い✨️ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
わたしにできること。
アニメーション制作:マッドハウス
2009年10月6日 - 2010年3月23日に放映された全24話のTVアニメ。
原作は、『月刊サンデーGX』『月刊ニュータイプ』に連載されていたCLAMPによる漫画作品。
監督は増原光幸。
【概要/あらすじ】
桜が咲く季節の朝。一人の少女がやってきた。
ほにゃ~っとした笑顔。ものすごく長い髪。服装のセンスは今時の娘のものではない。
彼女の名は花戸小鳩。住所不定。経歴不明。見た目は15~16歳ぐらいだろうか?
記憶のない小鳩は、青い犬のヌイグルミの「いおりょぎさん」をいつも連れている。
“いおりょぎさん”は生きて動く。よく怒るし口調は乱暴だし、口から炎を吐く。
ぽわぽわとしていて、そそっかしい小鳩を見守る役目があるようだ。
小鳩には目的があった。
『行きたい所があるんです!』
そのためには、人が傷ついた心を癒やされて笑顔になることで身体から出ていって実体化する、
「こんぺいとう」を「ビン」いっぱいに集める必要があった。
「こんぺいとう」集めの前に、人々が暮らす街で小鳩はやっていけるのか?
という適性テストに合格して、「いおりょぎさん」から「ビン」を貰わないといけないのだが。
小鳩はお金もなければ難しいことを理解できるだけの頭もない。
世間知らず常識知らずで重度のドジっ娘属性持ち。
容姿は可愛らしくあり、どこまでも前向きなやる気と優しい気持ちだけは誰にも負けないのであるが。
何にも特別な能力がなく、小鳩が持っているのは優しい歌声と人のために役に立ちたい心だけ。
そんな小鳩が、この街で出会う人達の心を癒やしていく1年間の物語が始まる。
【感想】
アニメ視聴と併せて原作単行本全6巻を読了。
同作者の『カードキャプターさくら』にデザインを寄せた原作漫画の雰囲気を活かしたキャラデザ。
小鳩が子どもたちの世話をすることになる、よもぎ保育園の園長の清花先生とかも見るに、
アニメの『カードキャプターさくら』より作画がずっとCLAMPっぽいですね。
こういう作品が、どの層に需要があるのか?と考えたら、
年下の女性からの母性「バブみ」を得て癒やされたい男性向けアニメですかも。
小鳩は人として汚れる前の子供のような感性を備えた無垢な善人として描かれていますが、
人間ってのは、人生経験で成功も失敗も積み重ねて、
心のなかで対人マニュアルを作っていくのだと思うのです。
小鳩は記憶が無いからこそ、偏見なくまっすぐな心で誰にでも体当たりな娘として描かれていますが、
純白の心=正しい という考え方も危険であって無知を称揚するというのもどうかとは思います。
しかし、なまじ知識と経験があるからこそレッテル貼り。
自分の常識と価値観で他人の心に憶測で値段をつけて、
相手のことを真に考えなくなったりするのかもしれません。
こういう純粋まっすぐモノが普通は嘘くさくなるのを、
ファンタジー面の補足で説得力を持たせるのが、さすがはCLAMPですね。
アニメでは説明がされてないのですが、原作を読むと小鳩がどういう存在で、
何故あんなにも綺麗な心を持っているのかが理解できて、腑に落ちるのです。
このアニメは感動ジャンルとして、心地よい空気を視聴者に送り込んでくれるものの、
水島努が脚本書いた第17話と、ツバサからのゲストキャラ3名と1モコナが絡んでくる第20話は、
正直要らなかったよねと(笑)
そのぶん、原作にある何故「いおりょぎさん」が小鳩に肩入れするのか?の動機付け。
そして、実は「いおりょぎさん」にとって世界で一番大切な存在である、
「小鳩の魂の正体」のお話をアニメでもやって欲しかったかも。
あと園長先生と元ご主人の和解までのやりとりは、絶対に原作漫画のほうが良かったよね!と思うのです。
しかし、原作通りにやれ!と思っても当時は原作未完で実際は無理。
(アニメ終了が2010年3月で原作終了が2011年8月号)
原作シナリオ担当の大川七瀬がアニメのシリーズ構成に携わっていて、
ラストまでのプロットは大まかに決まっていて、単にアナザーエンディングになってしまったのですね。
(終わり方の方向性は一致していますが)
それはそれとして多分にアニメ版は子供向けとして、比べて対象年齢が高めの原作と表現を変えているのですが、
主要人物である藤本さんに対する小鳩の恋心とか、離婚に関する大人視点の心理描写とかは、
原作通りにやって欲しかったかもとも思うのです。
アニメはアニメで良かったのですが、原作のほうがテンポよく進みシナリオの完成度が高いですので、
ついつい比較してしまいがちになってしまうのでした。
まあ、ラストがとても綺麗ですので得してるアニメではあります。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。