101匹足利尊氏 さんの感想・評価

3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

深夜アニメ裏技サバイバル術がたのしー！？けものアニメ♪

原作ゲームアプリは未プレイ。

私にとっては、たのしーアニメでした。

ただ、そのたのしーは作品に感動した故のたのしーと言うより、
限られたソースでどうやって楽しませるか？
その手法の数々に、ある意味での深夜アニメらしさを見出し、感心したかんじ。


本作に深さとかSFとしての完成度を感じた方には申し訳ありませんが、
私は本作には、積み残された解答も含めて、全ての謎が明かされた時、
カタルシスを感じるような内容はそんなにはないのではと思っています。

けれど本作は謎が脚本をふえるワカメみたいに増殖させる効果を
最大限活用していると思います。

会話内容が例えば、元のけものたちが持っていた特徴を羅列しただけであっても、
一つ謎解きクエストが加わるだけで、視聴者は会話の中から推理の鍵を探したくなる。

本作を古典的RPGに例える感想を目にしましたが言い得て妙です。
見ていて時に言動が奇妙な村人Aたちの挨拶、自己紹介レベルの会話に、
物語のヒントを探して、目を皿にして食らいついた、
冒険の日々がフラッシュバックして来ましたｗ


CGで構築された本作ですが、そのレベルは正直、貧弱だと思います。
キャラクターは時折、立体感が低下しますし、目もあまり動きません。

けれどそれらCGキャラの動きを妙にシュールで気になるラインに乗せて来る所が、
本作のしぶとい所。

作画面で私が一番すごーいと思ったのは、EDテーマ。
遊園地の廃墟モノクロ写真？に歌を流すのみという選択に、
本作の生存戦略の極みを感じます。

動きがいまいちでもCGで萌えキャラを構築したら、
例え豪華なアイドルアニメと競合し返り討ちに遭っても、
EDで歌って踊らせたくなるのが製作者の性。

まして2.5次元対応のペンギンアイドルグループまでこしらえたら尚更なのですが、
本作のEDはそこをグッとこらえて？
謎を煽る画像で、一コマも描かずして、視聴者を作品に惹き付けようと画策して来ます。
やむなく？踊った回も、見せびらかすより、ボロが出ないように防御に徹した感じ。

勝ち目のない敵とは最初から戦わない。生存戦略の基本です。


唯一、音楽を高評価しましたが、
本作はBGM、効果音が作画を補う獅子奮迅の活躍。

近年の作画力の高いアニメだと、音楽は心情描写の補佐等に徹しますが、
本作の場合はBGMが時にベタ塗りレベルにまで低落する背景画だけでは
表現し切れないサファリ内のロケーションを演出。

私はこの辺りにも古のRPGを感じます。
昔のロープレはグラフィックは茶や緑の粗いドットの集合体。ゲームボーイに至っては白黒ｗ
けれどBGMが砂漠でアラビア風になったり、雪山でキンキン音になったり……。
懸命に唸ることで、世界を股にかけた冒険を演出していました。

音楽や効果音も作画の一部。しかも挿入するタイミングも実に上手い。

フレンズの分類テロップを表示するタイミングもそうですが、
本作を観ているとタイミング一つで出来ることが
まだまだ沢山あるんだな～と考えさせられます。


点数を付けると私は微妙な数字になってしまいますし、酷評意見も頷けます。
アニメの進むべき道が、豪華な作画で、万人が芸術性を認める作品だとするなら、
本作は評価し難い作品なのだとも思います。

実際、今後、二番煎じが大好きなアニメ業界が、
本作の少ないソースで稼いだ経済性だけに着目して、
中途半端な劣化フレンズを量産し、折角、育って来た質アニメを駆逐したら、
私が見る深夜アニメがなくなってしまうｗ
そんな懸念も批判意見には含まれているように感じます。

けれど本作の戦力不足でもサバイバルする工夫は生かされて欲しいなとも思います。

本作より遙かに作画兵団に恵まれた作品が、勝負所でクオリティを落したり、
“万策尽きて”回すら落したりする現状を目にすると、
平原で突撃戦一辺倒で討ち死にするのも勇猛果敢で結構ですが、
本作のような山岳ゲリラ戦や密林トラップ戦術はないのか？と考えてみたり……。

深夜アニメ業界におきましては、
今後ともアニメファン以外にもオススメできる質の高い作品の制作を期待しつつ、
何が飛び出すか分からない闇鍋であって欲しいｗ

生物多様性の願いも噛み締めながら、レビューを締めたいと思います。