カンタダ さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
たまこの幼馴染でしかない
たまこまーけっとではまるで歯牙にもかけてもらえなかった、男主人公であるもち蔵の面目躍如だろう。が、正直この男はたまこにはお勧めできない。TV版ではまったくたまこの眼中になかったのも、もち蔵が男性としての魅力に大きな欠陥があるからだから仕方がない。
しかしこちらではそんなダメ男なもち蔵がようやくたまこに振り向いてもらえる。なぜか?失いたくない幼馴染だからという、なんとも消極的理由からだ。これだけで恋愛に無関心だったたまこのハートを射止めるには、動機が弱すぎはしないか。
既に触れたが、TV版のもち蔵はたまこが好きなだけの女々しい男だったが、映画でもやはりそれを引き継ぎ、告白を撤回するという禁じ手を使うほどのダメ男だった。これでどうやって女性を落とせるのか、作品最大の謎である。普通なら相手を怒らせ離れさせていくところだ。
もち蔵を観ていて不愉快な気分にさせられるのは、これだけではない。たまこの返事を受けたところでも泣き出す女々しさ。本当に情けない。泣きたいほど嬉しい時に素直に泣いていいのは女の特権だ。男が真似をしてはいけない。
そもそもたまこを思うのであれば、東京へ行く事を決めた際にたまこを諦めるべきだろう。遠い土地へ行く者が想い人を故郷に残して、自分を待たせておくとでもいうのか。
たまこは土地から離れないのはわかっているのだから、逢うことが困難になる。その間たまこの他のもっとマシな男性との出逢いの機会を奪うことになる。優しい男のすることではない。
幼馴染という点でしかなんの魅力も持たないもち蔵とたまこの恋愛話は少々無理があったのではないか。どうもたまこがもち蔵に対して恋愛感情を抱くだけの動機が見当たらないのだ。腑に落ちない作品だった。
女性監督と女性脚本家というあたりに、男主人公の魅力の無さの原因があるのだろう。女性作家の男性の人物造形にお座なりなところがままある。本作はその典型だろう。