雀犬 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
Good old days
原作自体が名作ですから、
JAZZを実際に耳で楽しめるアニメ版もやっぱり名作。
音楽はJAZZ演奏だけでなくOP曲、ED曲、BGM、全て良いです。
思春期の複雑な心理、新しい世界へ飛び込む喜びと戸惑い、恋と友情。
そういった青春物の定番要素もうまく表現されています。
恋愛以上に友情に力を入れて描写しているのが本作の特徴で、
坂道のアポロンといえば第7話の文化祭のシーンが有名ですが
僕が一番好きなのは第11話の病院の屋上のシーンです。
これを「BLっぽい」なんて言っちゃう人には説教したい。
登場人物はみな不器用なところがあります。
特に主人公の薫は面倒くさい性格でとっつきにくいかもしれません。
でも彼の純粋さと傷つきやすさ、そして身勝手な所も含めて僕はとても共感できる。
特に第5話のアサリのバケツをひっくり返す場面は印象的。
捨てられるのが怖いから、自分から捨ててしまう。
分かる。分かるよ、その気持ち!!
舞台も昭和ですが、全体的に懐かしさが感じられます。
あえて使い古された演出、展開を要所で使い、
それがいい具合にレトロ感を強調しているように思います。
東京へ向かう列車が発車すると、
見送る人がホームから走って追いかけて、
やがて見えなくなっていく・・・って
こんなシーン見たの、多分20年ぶりくらいだぞ!
惜しむらくは後半、話を端折りすぎて少し味気ないところでしょうか。
いきなり字幕で「8年後」は面食らいます。
卒業式以降は漫画版が圧倒的に優れているので原作を読んで欲しいかな。
薫と千と律子だけでなく百合香、淳兄を含めJAZZを通じて出会った人達で
美しいケミストリーを作り上げていたことを感じ取れます。
これは大人のためのアニメです。
古き良き時代のノスタルジックな雰囲気と上質な音楽を
思春期のほろ苦さと共に楽しんでください。
きっと良い休日を過ごせると思います。