雀犬 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
大河と竜児、ツインソウルの物語
今更ながら初視聴。尻上がりに面白く感じました。
前半は古典的なラブコメ。
この段階ではそれほど際立った作品には思えなかったのですが、
後半からは本領発揮、煽情的で迫力ある恋愛バトルが展開されます。
気持ちと気持ちのぶつかり合い!という感じです。
16話は実際に竹刀で殴り合ってますがw
見る側も高いテンションになれれば、かなり面白いアニメだと思います。
なので後半は一気見推奨かな。
とらドラはキャラがとても個性的です。
レビューをざっと眺めてみるとみのりんやあーみんも人気あるんですね。
僕的には、この物語は「大河一強」だと思ってます。
もう少しで釘宮病とやらを患うところでしたよ、ええ。
というか好きなキャラを挙げるとすると大河、竜児、後は・・インコ?
なので、以降の感想はかなり偏っているかもしれません。
{netabare}
本作の良いところはコメディでありながら
恋愛感情の芽生えから成熟までの過程をきっちり描いている点だと思います。
裕福な家に生まれながら家族の愛情を十分に与えられずに育った大河は
暴力的でささくれだった性格になっています。
そんな大河の心の空白に竜児の温厚で、家庭的で、面倒見のよいところがすっぽりとはまります。
ラノベにありがちな「イケメンでもない主人公が意味なくモテる」のとは訳が違う。
大河が竜児に惹かれていくのは当然のことなのです。
クリスマスで竜児から距離を置くことで自分の気持ちに気付くのですが、
その時には北村に対する好きを遥かに超え、溢れんばかりになっている。
そんな様が丁寧に表現されています。
この流れは恋愛物の定番ではありますが、ここをしっかり描くか描かないかで
恋愛バトルが白熱したものになるか、安っぽくなってしまうか
その成否を分けるのは言うまでもありません。
対して、みのりんはいつ竜児を異性として意識し始めたのかはっきりしません。
あーみんの意味深な台詞でこれはもしや、と思いましたが明確な描写はなかったような気がします。
悲しいかな、これが主役と当て馬の差なのだと思います。
タイトルは「とらドラ」。あくまで大河と竜児のストーリーということか。
美女と野獣に代表される一見不釣り合いな男女がベストカップルだという面白さを、
いかにもサブカルっぽいユニークなキャラで、しかも説得力を持って成立させている。
それこそが僕の考えるとらドラの魅力です。
――――この世界の誰一人、見たことがないものがある。
で始まる、有名な語りで最終話は終わります。
これは本作がツインソウルを表現した作品であることを示していると思います。
人間は生まれる前は男女が一対で、生まれるときに離れ離れになる。
人はその片割れを追い求め、巡り合えれば双子の魂は合体する。
それが完全な恋なのだという西欧ではポピュラーな言い伝えです。
大河と竜児はまさに魂の片割れ同士なのだと。
そういうふうに、この物語はできている。
{/netabare}