ぽこやん さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ほどよいバランスの日常系(ドラゴン入り)
タイトル通り、小林さんちにメイドのドラゴンがやってきた話。
最初は作画で少し視聴を悩んだけど、一話終わったらどうでも良くなっていた。
ホント、一話で切らなくて良かった・・・。
まずは良かったと感じたことから。
それ以外はネタバレにて。
人間×ドラゴンの非日常を、違和感なく日常に見せた手腕はさすが。
いい意味で期待を裏切られた。
主人公の小林さんが、いきなり違和感なくドラゴンを日常として受け入れたところで、視聴側もいきなり引き入れられた印象。
異世界のドラゴンが人間界で生活すると、やっぱりそうなるよね。
というツッコミとオチのバランスがいい。
話の中で、え?それはどうなの?というセリフや場面も、しっかり伏線回収されている。
無表情キャラと表情豊かなキャラを徹底してわけているのも好印象。
さすがだな、と思ったのは、日常系アニメはいわゆる、
「死にキャラ」
が多い作品が多い。
でもこの作品は全ての登場キャラに徹底した個性がある。
キャラごとの役割分担のバランスが絶妙。
特に登場するドラゴンたちの個性は最高に面白かった。
自分の中でフラッシュバックしたのは、他作品で申し訳ないのだが、はたらく魔王さま。
あのアニメも好きな作品だったので、ニュアンスは近いものがあるかもしれない。
ジャンルは上記の通り日常系になると思う。
全話を通して大爆笑、大感動があるアニメではない。
でも、そこがいい。
緩急の差が大きくないので、最後まで安心して見れる。
ほどよい笑いと感動で骨組みされたアニメ。
「ほどよい」
というのは凄く大事なものだと思う。
緩急がありすぎると、中だるみが発生したりで、なんだかんだ面白くなくなったりする。
この作品は各話に上記が散りばめられており、なにも難しいこと考えずに観れるアニメ。
思わず、クスっとなるシーンが多い、という表現がいいだろうか。
適切かわからないが、見ていて幸せな気分になれるというか・・・
これは視聴してみないとわからないと思う、なんとも表現しにくい。
と褒めてばかりだが、話が進むにつれ思うところもあったので、それは以下のネタバレにて。
{netabare} 主人公が男で、ドラゴンが女の設定が良かったのでは?
という意見も見るが、この作品はそれでは成り立たない。
女ドラゴンが人間の女性に好意を抱く、という発想だからこそ中身が面白い。
男主人公だったら、ベタな異種族恋愛アニメに成り下がってただろう。
自分が印象に残ったのは、小林さんの優しさ。
作品の中でも表現されているが、ドラゴンたちに出会ったことで小林さんの人間味がどんどん魅力的になって行く。
たぶんこの出会いがなければ天涯孤独?な人生を送っていたのではないだろうか。
突然居候することになったドラゴンたちのために、2LDKの家に引っ越したり、小学校に通うためにランドセルを買ってあげたり・・・
押し付けの優しさではなく、自然な優しさが印象的。
もちろん他にも、
「ドラゴンがもし人間のこれをこうなると、やっぱりこうなった」
的な笑いもたくさん。
例えばダイナミックドッジボールの話だったり、
「あぁ、ドラゴンの常識と人間の常識が組み合わさるとこうなるのか」
というギャップで笑う。
残念だった点として。
最終話に近付くにつれ、トールや他のドラゴンたちが、人間姿のままで話が進んで行ったこと。
これは人間の姿に慣れ、人間の世界に順応したから。
といえば、まぁ当然のことなんだが・・・。
やはり、ドラゴンなのに人間の姿、というコンセプトがあるからこそ、このアニメは楽しいのだと思う。
序盤から中盤はそのバランスが良かったので笑える、シリアスの波が心地よかったのだが、後半はほぼ短調な日常アニメになってしまったこと。
もう少し人間やドラゴンの姿でガヤガヤして欲しかったなぁ・・・というのが本音。
でも一番謎だった、小林さんとトールの具体的な出会いを終盤に持っていったのは良かった。{/netabare}
まぁ色々思うところはあったものの、この手の良作は久々に出会った気がする。
一気に思わず最後まで視聴したアニメ。
あ、小林さんがいう、
「ちょろいドラゴン=ちょろゴン」
は名言です。