アレク さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
一口雑感
制作が京アニということで温かく親しみを持てるような作画ストレスを感じさせないような
話運び、ほわほわとしたBGM、どの要素も高水準で正直その見易さにかまけてある時はうつらうつらと
ある時は別な事をしながらと熱心に視聴したとはとても言えませんがそんな中でも食い入るように
見入ってしまったシーンも何度かあり、それはそのシーン以外は平凡で見どころがないという意味ではなく
この作品に通底している世界観というのがそのシーンに集約されているという意味で
その世界観というかメッセージ性とあわせてこのクールの中でなかなか印象に残ったアニメでした。
{netabare}
初めに断っとくと原作の「クール教信者」の作品はこれと「旦那が何を言っているかわからない件」の
2作しか自分は知らないんですがこのアニメを見て共通する世界観を感じ自分が感じたメッセージ性というのは
この作者特有の作家性だと思いました。
んで肝心の自分が感じた作家性というのは月並みでありふれた言い方で恐縮ですが
家族の大切さ、もっといえばたとえ甘々な関係でなくとも他愛のない話をしたし聞いたりする
存在というのが日々何かをすり減らしながら生活している日常の中でどれだけ救いになってるのか
それが家族でなくともかけ離れた種族間でも一緒にいることで知らず知らずのうちに
それが見えない心の支えになってるんじゃないかなーとそんなメッセージというか日々過ごすうちに
感じる現実味というのがファンシーな作画とある日ドラゴンと共同生活するようになったという
突拍子もない設定から離れ業的にひしひしと伝わってくるようで
いわば「クレヨンしんちゃん」的要素に萌と現代社会要素をうまく交えた
非常に今のアニメっぽい作風。
自分はアニメを見る理由としましては気晴らしというか現実逃避な部分もありますし
エンターテイメントなのでスカッとした部分もほしい(アニメでは個人的に萌も重要)それでも
主人公などに都合の良すぎたりすると共感できないし、のめりこめない
この作品はそのツボを押さえ方が上手で虚構の中に織り込まれた現実味の塩梅がたいへんよろしい。
特に印象に残ったのが12話トールと小林の出会いの下り、酔っ払い会社の愚痴を吐き続け
ひとしきり管を巻いた後ぽつりと一言 「なんで私一人なんだろ…」
あ゙~~~~~~~~痛い痛い痛い!!
その後13話でトールが出て行ったあと小林がフィクションであればトールのいる世界に乗り込んでの
大立ち回りも十分考えられますが小林は何のアクションも起こさなかった部分
メタ的視点で見れば視聴者にストレスを与えその後のカタルシスを得る
タメの部分なんですが家庭などの深い事情まで首を突っ込むとろくなことにならないという
大人になった小林がその過程で身についてしまったたとえそれがどんなに親しい間柄でも
自分の力ではどうしようもならないこともあるという処世術と同時に諦念
そしてトールの本当の気持ちを確かめることに対してのほんの少しの臆病にも感じられ
そこの部分には小林の心情を推し量る手掛かりは少なく勝手に自己投影してるかもですが
妙なリアリティを感じてしまい見入ってしまったなぁ。
だからその後小林がたとえ周りに迷惑をかけることになってもトールと一緒にいたいと
柄にもなく叫んだときはよく言ったと快哉を叫びました。
と、いうことで「小林さんちのメイドラゴン」いいアニメでいした。
{/netabare}