lufetch さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
思春期の心情・言動を現実チックに淡々と描いた、精巧かつ異質な作品
【総評】★4.7
この「月がきれい」という作品では、
異能の力などの非現実的な要素が一切省かれており、
思春期まっただ中の少年・少女の繊細な心情・言動が
現実世界との親和性を保ちながら巧みに表現されている。
「こういうこと、よくした(あった)よな」
「こういう(ピュアな)気持ち、懐かしいな」
といったアルアルで懐古的な要素が
作品中に丁寧に、数多く取り入れられており、
共感できるポイントが総じて多かった。
スマホが普及した近年の日本を上手く反映しつつ
中学生たちの日常を淡々と描くこの作品には、
今までの作品にはなかった異質な魅力を感じる。
【物語】★4.5
1話ごとの区切り方もテンポも心地よい。
各話において二人の関係にかなりの進展がみられるので、
1話をみるごとに次回へのワクワク感も募っていく。
個人的には、3話がクライマックスだったが、
一貫して二人の恋愛模様にフォーカスされていたので、
最後まで彼らの恋路の行方を楽しむことができた。
【作画】★4.5
それぞれのカットは風景画のように繊細で、優しく、美しかった。
視聴者にノスタルジックな印象を与えるよう、工夫されていると感じた。
【声優】★5.0
「あっ!」、「ん?」、「うっ...」
といった心情を表す細かい台詞・息遣いから、
何も喋ら(れ)ないときの間の取り方にまで、
現実感が演出されるように相当気を遣っているように見受けられた。
「そんなこと言う奴、現実におらんやろ」といった
変なセリフ臭さを感じることがなかったので、
各キャラが発する言葉には現実的な重みが感じられた。
【音楽】★4.5
作品の雰囲気に調和した温かいBGMが多い。OP・EDの雰囲気もGOOD。
3話で使用された挿入歌については、
選曲、タイミングともに上手くマッチしていると感じた。
ただ、全体的に挿入歌への依存度が高く、
(熟考したうえでの選曲・使用であるとは思うが)
「とりあえず使っておけば、雰囲気よくなるかな」
という安直さが感じられた点は少々残念だった。
【キャラ】★5.0
メインの二人もさることながら、
二人を取り巻くサブキャラたちも非常に魅力的だった。
家族や同級生を含めて、
二人の恋愛(観)に良い刺激を与えるスパイスとして、
サブキャラたち(の言動)がうまく機能していた。