どらむろ さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

少女漫画を男子向けラノベ風に変換したような、ライトな駆け引きラブコメディー

原作はライトノベル…と思いきや、月刊ComicREX（一迅社）の漫画です。全12話。
コメディー色の強いライトな駆け引きラブコメ、往年の少年サンデーっぽい印象（一迅社だけど）
少女漫画的な設定や展開を、男子向けにやっている所が、意外と新しいかも。
2017年相応の綺麗なキャラデザもあり、安定して楽しめた佳作でした。
中途半端なので、続編あれば評価上がりそう。

{netabare}『物語』
主人公・政宗は幼少期にもヒロイン・安達垣愛姫（あだがき・あき）に屈辱的な扱い受けた雪辱を晴らすべく、8年間努力して文武両道完璧美少年になり…
愛姫をホレさせたうえで捨てる復讐を敢行すべく奮闘する！
…でも前途多難、難攻不落。アクシデントの連続。
謎の協力者・師匠（愛姫様の従者ポジ、かわいい）の助けを借りたりしつつ、政宗君の大真面目だが滑稽な恋の復讐劇の行方やいかに！？

復讐リベンジと銘打ってますが、作風は非常にライトかつ終始コミカルです。
設定と展開は少女漫画に結構ありそうな感じを、男女逆転させた感じ。
ライト寄りで恋の駆け引きするのは少年サンデー（というか、るーみっく作品）っぽいのですが、よりラノベ的？なライトさがあって、観易いです。

見所は、頭脳派だが肝心な所で朴念仁な政宗君が、周到に計算して仕掛ける恋の策が、ことごとく空回りしていくコメディーでしょうか。
「政宗君は安達垣愛姫に過去がバレたらアウト」
「振られたら復讐がアウト」
「…でも、自分が安達垣愛姫を好きになっちゃってもアウト」
謎の美少女・師匠の入れ知恵や、第二のヒロイン・藤ノ宮寧子の参戦などで波乱が巻き起こり、更に恋の妨害工作してくる女性陣たち、その度に政宗君の恋の復讐劇は終始危うい綱渡りに…
ここらの絶妙なハラハラ感が終始面白かったです。

ヒロイン・安達垣愛姫は鉄壁に見えてチョロい…と見えて非常に手強い…かと思えば実は…？
政宗君が復讐の為に策を練りアタックし続ける過程で、安達垣愛姫の今まで見せなかった色んな可愛さが分かってくる流れも、ラブコメ的に中々萌えます。
それで互いの心境が変化していく…というのが少女漫画的なお約束か？
と思いきや、本作は終始、そうなりそうでいて意外とならないもどかしさ。
ラブコメの繊細さよりも、コメディーと萌えに振っている感じかも。

藤ノ宮寧子が参戦してくると、結構本格派のラブコメ要素も。
真面目なラブコメ的には寧子ちゃんの話の方が引き込まれました。
その分、メインヒロインがやや蚊帳の外だったのは惜しい。

終盤、ニセ政宗登場で波乱が巻き起こるものの、中途半端。
文化祭の展開はハラハラ感はあるものの、愛姫様の取り巻きの暴挙が些か不快なのも残念。
ラストは尺余りなカラオケ回、続きはまだまだこれからという感じでしょうか。


総じて、恋の駆け引きラブコメとして安定して面白かったです。
少女漫画との差異は、「男女の視点ではなく、主人公中心の展開」
相互に惹かれ合う繊細さではなく、あくまでも主人公の都合で話が進む感じ。
ここら辺が「ラノベ的」と感じた要因かも。
良作少女漫画と比してラブコメ面の深みは薄い一方で、コメディーや萌え面では申し分が無かった。
…全般的に、物語がまだ仕込みの段階であり、登場人物たちの過去の秘密や本当の気持ちなど、これから更に面白くなりそうな一歩手前で終了した感じ。
現時点では佳作の域ですが、今後続編があれば、かなり良作になりそうな予感がします。

※余談
2017冬アニメ視聴時期に丁度GYAO！でカレカノ観てまして。
「昔太っていて、ヒロインにイジめられた恨み晴らす為に、努力してイケメンになって、正体かくして再開」
「彼氏彼女の事情」の十波健史（となみたけふみ）が19年前に通過した道だッッ！
（カレカノ、20話辺りがまさにリベンジ展開）
佐倉椿ちゃん、太っている方が好みな辺り、残虐姫の先輩か…


『作画』
キャラデザは申し分なく美少年と美少女揃い、流石に2017年クオリティー。
黒髪な愛姫様もさることながら、師匠がかわいい。
萌え要素も売りな作風に置いて、キャラデザが可愛いのは強いです。


『声優』
花江夏樹さんの二枚目半な演技安定感抜群でした。カラオケが下手…本気なら本作声優陣で一番上手いはずｗ
大橋彩香さんのツンデレも良かったですが、MVPは師匠の水瀬いのりさん。
「魔法少女育成計画」のスイムスイムを彷彿としました。
三森すずこさんの食えない美少女感もお見事。

他、取り巻き女性陣が結構豪華。
小十郎きゅんの早見沙織さんは、「フルメタルパニック！」の風間くんの能登麻美子さんを彷彿。


『音楽』
OP「ワガママMIRROR HEART」が良い感じ。大橋彩香さんいい歌でした。


『キャラ』
政宗君が非常に面白い主人公でした。
ナルシスト？俺強い系？
否。そう見せて実はあまり余裕が無い朴念仁であった。
抜けているけれど頭は良かったり、復讐以外では人格者なのも好印象。
ラブコメ主人公としては終始誠実なのも良い。
演劇での無茶は、中々カッコ良かったです。

メインヒロイン・安達垣愛姫は、ツンが強すぎて（視聴者目線でも）可愛げが足りない…
と思いきや、大食い属性やツンデレっぷりで可愛さは申し分無かった。
…ただ、終始攻略対象の域を出ず、ヒロイン力は寧子に、可愛さでは師匠に遅れを取っていた感も。

藤ノ宮寧子の方が、ヒロイン的に「良い女」でした。
「ニセコイ」の橘万里花を、奥ゆかしくかつ腹黒くした感じ、でも愛は尊い。

師匠が一番かわいかったです。
策士っぷりがスイムスイムっぽいなぁ。
彼女の思惑や秘めた想いは未だ全容を見せず、その謎も含めて本作で一番印象に残るキャラでした。

委員長が普通に可愛い、もっと出番欲しかった。
小十郎きゅんが下手をすると最萌な可能性も…！

ニセ政宗は結構良い奴な印象ですが、地味過ぎてイマイチ。
…続編あれば、彼の本領が観れるかも。（原作未読ですがwikiチラッと読んでしまった…）{/netabare}