chariot さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
穏やかな雰囲気の大人向け作品。
ノイタミナ枠の小説原作作品、全11話。
ジャンルは…なんだろ?
お仕事物…かな?
玄武書房の営業マン・馬締(まじめ)光也はややコミュ障気味の青年。
彼の言葉や文章に対する強い思いを知った辞書編集部の荒木に引き抜かれる形で辞書編集部に異動となる。
長い長い年月をかけて「大渡海」という名の辞書を制作する辞書編集部の物語…
何万語という膨大な言葉。
辞書に収録する単語を選び、その意味を記す、地味な作業を延々と繰り返す日々。
そんな悠久にも思える時間の流れの中で人生を歩みながら、辞書を完成させる為に一歩一歩進んで行く。
そんな地味なお話でありながら「言葉」に対する愛のたくさん詰まった作品でした。
辞書編集部の荒木、西岡、佐々木、監修の松本先生ら良き職場の仲間と出会い、辞書編纂を楽しみ没頭して行く馬締。
そんな中で香具矢との出会い、恋愛へと発展。
馬締光也という生真面目でどうしようもなく不器用な青年を受け入れ理解してくれる人々と大目標である「大渡海」の出版する為に日々邁進する…
辞書という書物に触れた事のない人はいないでしょう。
しかし僕も含め多くの人はそれが10年以上の月日をかけて出版を迎える物だと考える機会もないでしょう。
この作品は出版社的にも地味である辞書制作に焦点を当て、気の遠くなる作業とトラブルを乗り越えて出来上がるまでの物語です。
はっきり言って地味です。
けれど言葉の持つ本来の意味や時代と共に変化する事、新しく生まれる言葉、廃れていく言葉、そんな日頃気にもしない点をしっかり明示し、人生をかけてまで作りあげる事に執念を燃やす人たちの生き様を丁寧に生き生きと描いています。
昨今流行りのアニメとは違いますし、大ヒットを狙った作品でもないと思います。
ドタバタもなくギャグも少なめで穏やかな会話の中で紡がれる人間関係と大目標を達成するラスト、どこを取っても大人がゆっくり楽しむ為の作品だと思います。
大絶賛するにはやや足りない面もありますが、最近のアニメって似たり寄ったりだよなーと飽きて来ている方には是非観ていただきたい作品です。