ポッチャマン さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
グリムガルで生きていく。
冬にやってたちょっと変わった異世界もの。作画を見てすぐわかるようにとても綺麗で幻想的な世界観。背景も水彩画のようなタッチは珍しく、一風変わった作品なのがビジュアル面でもかなりわかる。
義勇兵の見習いで結成されたハルヒロたちのパーティはまだグリムガルという世界に慣れていない。そんな中で懸命に生きる様を丁寧に、ほんとに細かく描いている良作です。
RPGの冒険ものにありそうなことも(主人公の無双とか?)少なく、非常にゆっくりと進むので、飽きる人もいるかな。かなり人を選びそうな作品だけど、僕は大好きですね。まず作画が好みで、キャラクターデザインが女性の方と聞いて納得です。ユメとシホル可愛いです。
ストーリーは一見地味かもしれないけど、 {netabare} パーティのひとりが本当にいなくなることでの {/netabare}命の尊さをしっかりと描き、メッセージ性もバツグン。現実とは違う異世界でもリアルに生活して、時に楽しく時に切なく、生きていくためにみんなで力を合わせて過ごしていく。ハマる人にはハマる作品かと。
また、この作品の音楽を担当している(K)NoW_NAMEさんも素晴らしい。BGMはもちろん、劇中歌は全部で10曲。どれも戦闘を盛り上げてくれたり、落ち着いた日常を彩ったり、切ない場面までも、表情だけでは伝えきれないところもこの音楽によって説明されてて、背景の幻想的な世界観とよくマッチしてました。
{netabare}
グリムガルという舞台は一応異世界ということになってるけど、ちゃんと街に住んでてあまり異世界感がないかな。戦闘ではパーティのそれぞれが職業スキルを身につけていて、技名がちゃんとあるバトルを見てるとほんとにゲームの戦いみたいでおもしろい。
さて、この作品は4話でマナトが死んで、ハルヒロはリーダーとしてやっていけるか悩みながら、メンバーたちと成長していきます。実際このときは僕もかなりショックで、マナトが撃たれたあのときのスロー演出の場面は脳裏にずっと焼き付いていますね。4話最後の墓をたててマナトを弔うシーンは曲を流してずっと止めたままの状態で何秒かあるけど、みんなの心に穴が空いた状態の虚しさとか、やるせなさとかそういう感情を表現する良い演出だと思う。
後半はメリィの話でしたね。パーティの空いた穴をすぐに塞ごうとしたらかえってまとまりが悪くなるっていうのはリアルでも普通に起こることだし、なんせ人間だから仕方ない。こういう細かいところまで抜かりなく丁寧に描くのはとても好印象です。メリィの過去を知ってきちんと話す。だんだん少しずつ心を開く彼女の変化は後半のみどころのひとつでした。そうやって1話1話きちんと積み上げて、雑な能力のインフレもないから、最後のサイリン鉱山戦はすごいのめり込めました。メリィのディスペルは彼女の優しさ。感動でした(涙) 最後のでっかいコボルトとの戦いはみんな成長してて戦闘がカッコイイ。ランタとハルヒロの背中合わせは、今まで考えが一致しなかったのに、何だかんだ同じパーティの一員として、固い信頼があることを感じた。最終的にコボルトを倒すことで、メリィは過去の仲間を失ったことを受け入れることでトラウマを解消できたし、ハルヒロたちはマナトに頼りきってた自分たちの本当の“パーティとしての連携”を手に入れられた。
「ハルヒロ、少し背が伸びたんじゃない?」
最後の最後、心の中の?マナトが言ったこの台詞でお気に入りが決まりました(^^;) どうやら今まで感情移入しまくりだったようで。改めてすごい作品です。
{/netabare}
ホントに丁寧なつくりだから、異世界もの初心者の僕でも面白いと思いました。こういうアニメも全然アリです。無双系に飽きたらおすすめ。一風変わった等身大の作品です。