インド人を右に さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
海を題材にしたSF世界観のヒューマンドラマ
士郎正宗が原作に入っていることもあり、義体や電脳といった単語がバンバン出てきます。
タイトルに潜脳調査室とありますが、荒事は少なく、時には潜脳(ダイブ)が無い回もあり、SF世界観の中でのヒューマンドラマといった感じでした。
主要登場人物に悪人といった悪人がいないので、安心して観ていられます。
(あの諮問会のジェニー円も、物事の進め方の意見に違いがあるだけで悪人ではないかと)
序盤は世界観の説明を兼ねて、少しアクション多めですが、4話くらいから1話完結のエピソードが続きます。
この中盤あたりの1話完結のエピソードを使い捨てにしないで、あとあとの話で少しづつ丁寧に拾っているのが良いなぁと思いました。
個人的にすごく好きなのは5話の『スーマラン』。このアニメ1話から、えらくメガネの作画が細かいなと思ってましたが、5話でメガネがキーアイテムになるとは思いませんでした。アイアンシュヴァルツがメガネかけるシーンは滅茶苦茶かっこいいです。はい。
声優さんの演技も素晴らしく、ミナモちゃんを演じる沖佳苗さんの元気な声が、キャラにぴったりと合っていました(沖佳苗さんはフレッシュプリキュアのキュアピーチ役も好きです)。
波留さん役の森功至さん、久島さん役の藤原啓治さんも渋くていいですね。
大人がちゃんと大人としての責任を果たしてるアニメは良アニメだと思います。
全体の話としては、「自然にはホメオタシスがあるから、あんまり人間の都合で弄ろうとするな」という普遍的なテーマであったかと。
これは、終盤の地球律が云々というところでもそうですが、電脳化していないミナモちゃんと、電脳化した人々の対比の形でもたびたび出てきますね。
25話の英サブタイトルが『i^2=-1』。この i は虚数単位のiなんでしょうが、最終話の英サブタイトルは『i』。このアイはなにか? 11話(バイオリン回)で久島は「探求し続けることが愛だ」というようなことを言っていました。久島が探求し続けたのは、海とメタリアル。この2つの愛=iが重なってしまったことで、i^2=-1 というマイナス、すなわち海が燃える現象が引き起こされた。そして最終話ではメタリアルを停止したことで i は一つになり、マイナスの結果は回避され、また同時に久島という私(I)は海と一つになった、とそういうことかなと感じました。
派手さはないですが良作だと思います。