おむえむ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
戦場で音楽を聞きたくなる気持ちがわかった気がする
ハードなストーリーがフリージャズとオールドポップの軽快な音楽にのって展開するガンダムの一年戦争外伝。正史的にどうなんだと思う部分があるにはあるが、そんなことは気にならないくらい画面にのめり込んでしまう。
作画やBGMのパワーももちろん凄い。けれどサンダーボルトの魅力は喪失を抱えながらも戦いに身をついやすキャラクター達だろう。
故郷を失ったムーア同胞団や四肢に欠損を抱えるリビングデッド師団の面々など。登場するキャラクターはヒロインに至るまで例外なく不可逆の喪失を抱えている。
そして戦闘が続くことで喪失は更に大きく後戻りできないものになっていく。サンダーボルト宙域での戦いは熾烈を極め、敵味方ともに一進一退の攻防を繰り返すなか、軽快なジャズがどこか諧謔的に鳴り響く。
この戦いによって誰かが何かを得ることはない。サンダーボルト宙域での戦いは目を背けたくなるほどに喪失の連続だ。
軽快なBGMが鳴り響く中で繰り返される虚無的な戦闘。その画面のバランスは流石で一瞬たりとも目が離せなかった。
原作の魅力を最大限に引き出したよいアニメ化だと思う。