カンタダ さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
加速しきれず終わった
物語自体が終盤にかけて失速した感が否めない。ラスボスがどうして王でもなんでもない能美なのか。主人公がより「加速」するための乗り越えるべき壁としての存在でなく、単に主人公とその周辺を陥れようとする下衆でしかない。そんな能美にほぼ1クール使ってまで描くべき話だったのだろうか。
さらにいえば、能美は下衆なだけに観賞者を胸くそ悪くするし、それに1クール付き合えとされても観賞者としては辛いものがある。ようやく倒したかと思えばしぶとく生き残り、春雪側はさらに状況が悪化していく様を二度三度と続けるとさすがにウンザリさせられてしまった。
下衆は必ず倒されなければスッキリ終われないのはお約束だから、能美などはさっさとケリを付けて、作中でさんざん伏線をはっていた、春雪と黒雪姫との将来的な関係の崩壊を描いたほうがよかったのではないか。しかし黒雪姫は沖縄へ修学旅行へ行ってしまい、話の主流からほぼ脱落させてしまう。
なぜ能美にここまでこだわったのか理解に苦しむ。そもそも下衆をラスボスに据えるのはいただけない。下衆はしょせん踏み台の役にしかなり得ないのだから。
個人的に春雪がブサメン設定なのは嫌いではなかった。いや、むしろ好物だが、卑屈が過ぎるのには辟易させられる。コンプレックスがアクセルワールドでの彼の加速を増幅させる動因になるのは理解できるが、それも度が過ぎれば同情を通り越して嫌悪感を催す。豚のアバターを使ってまで卑屈を演出するのはやり過ぎだろう。
ほかに気になったのが、心理描写をセリフに頼りすぎている。ダラダラと自分の気持ちを叙述されても話が間延びするばかりでじれったい。しかも春雪の性格自体が卑屈なために、イライラ感を加速させてくれる。そんな加速ならいらない。もっとほかに加速するところがあるだろう。