STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
硬軟、明暗のバランスが秀逸
原作は未読。
トールを始めとするドラゴン達がそれぞれに魅力があり、いずれも可愛い(ファフニールも
含む(笑))。
言葉通りの可愛いだと唯一の子供のドラゴンであるカンナカムイに尽きる。態度や言動も子供
らしいし、ムチッとしたデザインがこれまた子供らしいと言うか。
小林さん、トール、カンナと血縁関係のないものが同じ家で暮らすことで一つの家族のように
なっていくストーリーは心暖まるものがあるが、この過程で人とドラゴンの価値観や考え方の違いを
描き、そのことに対して歩み寄れるところは歩み寄り、そうでないものは違うものとしてそれは
それで認めていくという暮らし方が、単なるハートフルストーリーには終わらずにドラマに深みを
与えているようだった。
と言っても、こういったシリアス要素は重すぎずほどほどといった感じで、あくまで本作の
軽妙さを失わない程度の良いバランス。
この人とドラゴンが家族と化していく関係性はファフニールと滝谷 真、ルコアと真ヶ土 翔太と
いった他のドラゴンにも見受けられたが、よくよく考えるとこの手の作品の異世界からきた存在は
それぞれが(人の)主人公と結びつくことで、主人公がハブ的存在になることが多いが、本作のように
それぞれがホストファミリーのようなものを持つ作品は結構珍しいような気がする。似た形でパッと
思い浮かんだのは古いけど「オバケのQ太郎」。
本作の監督は京都アニメーション放火事件で亡くなられた武本 康弘氏。
個人的に京都アニメーションは上品、小綺麗といった印象があり、その反面ブラックな笑いとか、
俗っぽい要素の表現がやや苦手な印象がある。
そんな中、武本監督はそういった要素を表現するのに長けていた感があり、それでいて品の良さは
保ち続ける凄くバランス感覚のある人だったと思う。
つくづく惜しい人を失ったなと思う。
2019/08/11