蒼い✨️ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
テーマと内容が噛み合ってないような?
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント/だぶるいーぐる
2016年7月 - 9月に放映された全13話のTVアニメ。
原作は、漫画アプリ『comico』にて連載中していた夜宵草による漫画作品。
監督は小坂知。
【概要/あらすじ】
主人公は27歳の男。名前は海崎 新太(かいざき あらた)
2浪・大学院から新卒でブラック企業に就職してしまい、
そこで遭った出来事が原因で3ヶ月あまりで退職。
再就職もままならず、実家からの仕送りとコンビニバイトの収入で生活していた。
実家からの仕送り打ち切りを電話で告げられ、バイト収入だけで東京での一人暮らしをどうするんだ?
そんなところに渡りに船。新太はリライフ研究所の夜明了(よあけりょう)にスカウトされる。
彼の言うには1年間、とある実験の被験体になってくれれば期間中の生活費の保障がされ、
結果次第では再就職の斡旋がされるという。怪しさ満載であるが、新太は話に乗った。
実験とは、薬を飲んで見た目だけを十代に若返らせた状態で高校に1年間通ってもらうという。
所謂、ニートなどの類の脱落者の社会復帰を目的とした再教育プログラムの検証実験。
高校生活をやり直して若者たちと接触し、人間関係の構築によって、
被験者の人格的に欠落した部分の再構築を試みるというものだった。
【感想】
対象は、25歳以上で自分の人生に行き詰まりを感じている人たち?
そういう人たちが共感を覚えたり感動すれば、作品としての勝利なのでしょうか?
作画は淡白な感じで、表情の表現も乏しいですね。
設定としてひとつ気になったのが、新太が特にダメ人間じゃないことですね。
つまずいて壊れてしまったコミュ障人間が社会性や協調性を回復する話と思いきや、
新太は社会人マナーもコミュ能力も就労意欲も十分であり、バイトとは言え自分で働いて稼ぎを得ていた。
ニートって全く働かずに一日中ネットで遊んでるイメージ。私の偏見かもしれませんけどね!
ドロップアウトした原因が原因だけに新太自身に一切の非も更生の必要もなく、
面接で彼を落とした様々な企業と違い、研究所は彼の事情を知り尽くしているわけですので、
ただ単に彼の再就職の手助けだけをすれば済む話ではないかと。
同じ躓きの再発防止が教育課程にあるにせよ、
根本的な問題が件のブラック企業の体質にあるならば、
行政指導で企業に改善を求めるべき事案なのではないでしょうか?
リライフ研究所の運営形態や財源など、わからないことだらけですので、
どれだけの権限があるのか、私には把握しようもないですが。
物語では高校生たちの学園青春ドラマが作中で繰り広げられますが、
新太が元々27~28歳の達観した大人として未成年たちより完成しているために、
それらと関わることで新太自身の人間的成長を促すといったものもなく、
物語のテーマ性を掘り下げているか?といえば疑問があります。
新太が動いた!解決した!この二点の事実が研究レポートとして重視されているようですが。
そもそも、リライフのプログラムの内容が分からないですし、
作中に登場するスタッフがキメ顔で計画通りと言っておけば、問題ないのでしょうが。
どうにも、キャラに理想の青春を送らせて物語をきれいに描こうとして、
結果、落ちた人間の心の病理や掘り下げにリアリティが欠けてしまい、
作者のやりたいことが、ぼんやりとしてしまって、
心に刺さらない作品のように思えました。
こんな高校時代を送りたかったと後悔している人に、
主人公の視点を通して仮想体験をさせたかったのでしょうか?
原作つき作品の数分の一をアニメ化したに過ぎず、
物語の全体像が把握できれば別の感想も生まれましょうが、
アニメ化された13回のエピソードだけでは不十分な内容ですね。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。