「クズの本懐(TVアニメ動画)」

総合得点
83.4
感想・評価
1034
棚に入れた
5290
ランキング
325
★★★★☆ 3.6 (1034)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.5

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「私たちはまっすぐに、歪んでいく。」←これが今時の綺麗なの…?

この作品の原作は未読ですがノイタミナであること、そして主人公を安済さんが演じられると知って視聴を決めた作品です。

でも完走して振り返ってみると、久々にレビューしにくい作品に出会ったと思いました。
内容が難しい訳ではありません…評価が難しいんです。

声優さん、作画、主題歌…きっとどれをとってもトップクラス間違いなしだと思います。
それじゃ何が評価を難しくしているのか…純粋に内容が理解できないんです。

安済さん演じる主人公は、高校2年生の安楽岡 花火(やすらおか はなび)
おかっぱ頭の似合うスタイル抜群な美少女です。
彼女は小さい頃からお兄ちゃんの様に接してきたクラス担任の金井先生に恋心を抱いていました。

一方、花火と同じ高校2年生の粟屋 麦(あわや むぎ)は、昔家庭教師で今は音楽の先生をしている皆川先生の事が大好き…

金井先生は優しい感じが好印象の先生で、皆川先生はきっと誰もが思わず振り返ってしまう美人の先生…
好きになる理由は人それぞれ…だけど花火と麦に共通していたこと…それは恋い焦がれた人が自分を恋愛の対象として見てくれていなかったことだったんです。

最初に感じた違和感は花火と麦…何でもっと真っ直ぐ自分の気持ちに向き合わないんだろう、という点です。
好きな人の事を考えて、その人に向かっていくなら取るべき態度はおのずと変わるはず…
だけど、この2人が選択したのは、思い通りにならないからやさぐれる事…これじゃ只の昭和時代のヤンキーじゃん、と思いましたけれど。

思えば全ての起点がここだったと思います。
そしてここから違和感が連鎖するように、物語が動いていきます。
でももしやさぐれてなんかいなかったら、物語の結末はきっと変わっていたでしょう…

次に感じた違和感は、戸松さん演じる絵鳩 早苗(えばと さなえ)
でも、違和感というと語弊があるかも…登場人物の中で一番歪んでいなかったと思います。
だって、彼女は一度だってやさぐれたりなんかしなかった…
口から心臓が飛び出す程の胸の高鳴りを抑えながらも、彼女は脇目をふらず真っ直ぐだったから…
きっと彼女に対して「歪み」という言葉を当てはめるなら、自分自身を歪んでいると思い込み気持ちに枷を嵌めようとした点だと思います。

ほぼ同じタイミングで登場した井澤詩織さん演じる鴎端 のり子(かもめばた のりこ)にも、正直あまり違和感や歪みは感じませんでした。
むしろ、彼女の様に自分を他人と差別化できずに順番を付けている人って最近多いんじゃないでしょうか。
でも、彼女の事は可哀そうだとは思いました。
何故なら、彼女の選択肢の先には「孤独」しかないから…
人は決して一人ではいきていけないと思います。
疲れたら寄りかかりたくなるのが人の性ですし、漢字の由来にもなっている訳ですから…

そして豊崎愛生さん演じる皆川先生…
何が彼女をあんな風にしてしまったのでしょう…
彼女は確かに歪んでいたと思います。
だって心が正しくなかったから…
でも本人に自覚がなかったら、矯正される事無くその歪みは永遠に繰り返される…
そしたらきっと関わった人が不幸なってしまう…

その負の連鎖に対する金井先生の言動が、一番歪んでいたのかもしれません。
このレビューを書くまで金井先生は人畜無害な人だとばかり思っていたのに…
でも金井先生は凄い…だって今まで誰もできなかった気付きを与える事が出来たのだから…
そして金井先生は酷い…個人的には花火に一番幸せになって欲しかったのに…

でも途中から作品の方向性が明らかに変わった様に感じたのは私だけでしょうか。
花火…主役の筈なのに何で空気みたいになっているの…?
この作品は誰の…何が一番言いたい事なの…?
花火の…麦の本懐って何なの…?
これまでの費やした時間って…何だったの?
まさか皆川先生の一言が全てじゃないよね…?

確かに物語としては一応結末を迎えました。
だけど、いくつかの疑問を残して終わったような気がしてなりません。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、96猫さんの「嘘の火花」
エンディングテーマは、さユりさんの「平行線」
どちらも心にビンビン響く曲です。どちらも私の好みの曲で、今期のアニソンBEST10の上位に入る曲ですが、どちらかというとオープニングに軍配です。

1クール12話の物語でした。
作画のレベルはとても高く、時々ドキリとさせられる事も…
全般的なクオリティが高かっただけにこの作品の言いたいことがぼやけている様な気がしたのが残念でなりません。
まぁ、昭和の私がついていけてないだけかもしれませんが…

投稿 : 2017/04/09
閲覧 : 515
サンキュー:

36

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