カンタダ さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
主題を忘れた作品
渡された100億で12人のセレソンがそれぞれのアプローチで日本を救う任務を課せられた。はずであるのに、思惑や思想の違いでセレソン同士が潰し合って終わってしまう。
日本を救うかどうかともかく、変えようとして具体的に行動を起こしたのはNo5の病院院長である火浦、動機はともかく社会的な影響から見てミサイルを落とし「迂闊な月曜日」を演出したNo10の結城、裏で工作を続けていたNo1の物部くらいだろう。
扱っている主題が主題なだけに、作者の国家観が問われるわけだが、今ひとつはっきりしない。物部が多少意見を述べているが、多少勉強した者から見れば合理主義者の妄想にすぎないことは明らかだ。
せめて主人公の滝沢が青写真でも描いていて、その正否は置いておくとしても、何かしらの計画に沿って事を動かしていてくれたら面白かったのだろうが、記憶を消したのもあくまでも感情的な理由から無計画に消しただけだったのは残念だ。これも計画の内であったなら楽しめたのだろうが。
結局なにがしたかったのか?何が言いたかったのか?よくわからないうちになんだか知らないがヒーローになって終わっただけの話か。
己の正義は反対者にとっては悪だ。しかし12人のセレソンが己の正義や描いたグランドデザインを信じて、傷ついてでも理想に向かって戦い合うことは正しい姿勢だ。それができないのならセレソンである必要もないし、資格もない。
竜頭蛇尾な作品だが、それに気づくまでは楽しめる作品だろう。