Progress さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
理想の男子、理想の女子
理想の男子と理想の女子を掛け合わして、理想の恋愛を描いたような作品だと思います。
リアリティを感じて好印象だった序盤でしたが、次第になんかリアリティがが薄れ始めた中盤。終盤はフワッとしつつも、なんとかリアリティを戻してきました。
序盤のワクワクを満足させるほどの満足感は得られませんでしたが、後腐れのない終わり方で、たまにはこういう作品もいいかなと思えます。
理想の恋愛という言葉がピッタリの作品。初恋でそのまま結婚ってかなりの少数派じゃないでしょうか。ロマンチックな展開を楽しむ作品ですね。
【今の中学生っぽいし、気持ちがわかるところもある】
今の中学生男子にとって、意中の相手とlineでやり取りするというのは、二人だけがしっている繋がりを持てたという嬉しさがあるのでしょうね。私の時代はメールでのやり取りがあの子とできたら・・・という時代でした。
時代の移り変わりを感じつつも、そこにある感情は変わっていない、どの世代にも、安曇君が感じた嬉しさが通じる所があるのかもしれません。
【理想の男子、理想の女子】
安曇君には、どこか共感する部分もあって、彼の恋心を応援したくなります。どこかに優しさがある。水野さんに対して打算的に動かず、彼女の思いを優先する。
付き合い始めると安曇君は水野さんの為に勇気のある行動をします。そのたびに水野さんが安曇君にさらにほれるという展開です。正直「こんな男はいない」と思えます。それに、同時に、安曇君との恋愛は長続きしないだろうな、とも思えます。こんな、理想的な男子に、彼女は居場所を見つけることができるでしょうか?
比良と水野さんが一緒にいるとき、やきもちを焼いたシーンは安曇君は独占欲が強いんだな、と思えます。安曇君にも欠点はあるんだなとある意味安心したシーンです。
水野さんは誰かに恋愛感情を持っていないと思いつつも、安曇君に惹かれていくのが伝わってきます。周りの環境が徐々に男女を意識し始め、そのベクトルが自分にも向いていることに戸惑っている時の表情や些細な動きから、か弱さを感じます。
口調や使っている物は周りに染まっているのに、まだ誰も好きになったことのないということが、初々しくて、素直さを作り出しています。
付き合い始めると、彼氏の悪口は言わないし、安曇君の男らしい行動にしっかり反応して惚れ直し、自分の彼氏を好きになった友達にも優しく接する。
正直こんな女子はいないでしょ。
周りに微妙に俗っぽい人を登場させて、二人が少し似た物同士感を演出していた感じもしますね。
【弱さを見せない安曇君に自分の居場所を見つけられない水野さん】
最終回で、水野さんは別の女の子に告白された事を安曇君に打ち明けないことに対して言葉に出来ない感情がわいてきます。
これから遠距離恋愛になる二人の負担を一人でしょい込もうとする安曇君をみて、不安になる水野さん。
この人にとって私は必要なのか?という不安です。
いつも男らしくリードして弱さを見せない理想の男子の安曇君。彼のどこかにダメな所があれば、そこを埋めてあげられるような存在にもなれた。でも彼はダメな所はみせない。なるほど、居場所のなさを感じた水野さんの心が離れていくわけです。
最後に安曇君が伝えられなかった気持ちを伝えることで、水野さんの気持ちを引き戻す安曇君。水野さんの、「安曇君にとっての私はどんな存在」という不安を払拭させてくれる文章だったんでしょうね。多分そこについて水野さんははっきりとした回答を得たわけじゃないんでしょう。(というか、そのほうが良いと言う作りでした)
【総評です】
理想の男子と理想の女子の理想の恋愛劇を見ているようで、中盤は落ち着きませんでした。本当の中学生はもっと子供っぽいと思ってます。それに、もっと人は弱いし、安曇君みたいなとても勇気のある人間に共感は出来ないから、最初に感じた、共感の心地よさが段々と薄れていきました。多分、中学生であるからこそ安曇君は彼女にカッコ悪い所は見せられないという心理が働いたんだと思います。中学生なりの見栄が不器用だという表現ですね。そういった不器用さで「伝えたいことが伝えられないもどかしさ」から「何も知らなかった」という初恋を表現した作品でもありました。
お互いを好きだからという理由だけで付き合っている二人の物語という、純愛という言葉がふさわしい、初々しい恋愛劇でした。