退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
芸に生きる人間の業
先日、NODA・MAPの舞台「足跡姫」を観た。
十八世 中村勘三郎へのオマージュとして歌舞伎という肉体の芸術の儚さを扱い、
何も残らず消えてゆく、しかし確実に残り続ける足跡についての話。
題材は違えど、声・言葉を生業とする落語もやはり同じように儚い芸能だなと。
そしてこのアニメも、消えながらも残り続ける足跡についての物語だったなぁと。
(現代はもちろん記録媒体は多数あるけれど、そういう意味ではなく。
板の上で展開される「ライブ」という点では、どちらもやはりその場限りの消えゆくものである)
最近のアニメにしてはゆったりとした物語展開。
おそらく尺の都合もあるとは思いつつ、その分落語パートも多く、
作品全体に落語そのものが染み渡っていくようで、
伝統芸能への敬意と誠意に満ちたとても丁寧な作りだと感じた。
回想や後半の演出等のおかげもあって声優陣の達者っぷりも堪能できた。
スタッフ・キャストの皆様、お見事でした。
信之助の出自に関するエピソードは確かに説明過多で不粋な気もしなくはないが、
小夏の若き日の屈折した胸中を、時を経たからこその素直な言葉で語らせたのは、
物語の総括としては悪くなかったと思う。