因果 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
大学生、かくあるべし!
青春とは刹那である。些事に気を取られ無為に足を止めること勿れ、豪放磊落にその一歩を踏み出すべきであるのだ。
そうして夜の街をサンダルで闊歩しながら辿り着いた果ての新宿TOHOシネマにて「夜は短し歩けよ乙女」を鑑賞することもまた刹那的青春に分類されよう。
さて、森見登美彦原作、湯浅政明監督、伊東伸高作画監督、アジアンカンフージェネレーション主題歌という満を持しての体制下において封を切られたこの映画であるが、相変わらずの圧倒的世界観には舌を巻かざるを得ない。
湯浅政明といえば「マインドゲーム」や「四畳半神話大系」などでその才気を遺憾なく発揮し、サイケデリックな色彩と踊り跳ねるような物語展開で数多の支持者を獲得し、文化庁をはじめとする諸方面からは賛辞の嵐を受けた。
そして本作においてもまた、その溢れ出る才能は迸って止まなかった。
原作では1年間かけて展開された物語をなんと一夜の出来事にまで圧縮してしまったのだ。これを外在的制約と取ることも可能だろう。だがしかし、否、私はそうは思わない。
矛盾さえもが湯浅政明の前では単なる外連味に還元される。「一晩で四季が巡るわけねーだろバカ」というパラダイムは瓦解し、ファンタジー映画の一要素としてむしろ作品を際立たせる。
ここら辺は実際に観に行って、実感として味わっていただきたい所存である。
アジカンの退廃的な歌唱も本編の内容にぴたりと合致しており、エンドロールにて絶品のカタルシスを醸出してくれる。
暇を持て余す善男善女の皆々様、殊に大学生の皆々様、未来に怯え億劫に竦むその足を、今こそ前へと踏み出すのです。
貴方を満足させるに値する「それ」はそこにあります。
さぁ!夜は短し歩けよ若人、大学生かくあるべし!