岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シリーズ集大成、劇場版クオリティー
原作未読。2期に引き続き視聴。
劇場版の物語は既存のVRではなくARを主体としているのが、より未来的で面白い設定だと感じた。とはいえVRや現実のシーンも描かれており、これまで以上に現実と仮想世界が入り混じる場面転換。作品内の世界観の広がりを改めて感じた。
物語のキーキャラクターが本作の原点でもある、アインクラッド編のSAOサバイバーであり、本編とSAOを絡めていく展開もよかった。キリトたち攻略組はSAO事件を解決に導いた、いわば光。その一方で途中で散っていった者、自ら死を選んだ者、著しい成果を挙げれぬままゲームクリアに至ったいわば「闇」にあたる人間もいたことを改めて思い出させてくれる。そういったSAOの物語の空白をうまく突き、活かした物語設定だなと感心。
亡き娘を想う教授の陰謀により、ARゲームによってSAOサバイバーのSAO時代の記憶がなくなる現象は、ある意味では現実の命よりも重い代償なのかなと感じた。特にアスナやキリトにとってはSAO時代の記憶は、二人の出会いや成長・絆そのもの。その記憶を取り戻すための戦いは、アインクラッド編と同様に戦いの理由や重みを感じさせるものだった。各キャラクターの「思い出」が本作の大きなテーマだったように感じた。
劇場版からのキーキャラクター、エイジはSAO繋がりという設定は面白かったがかませ犬的な役割は仕方なかったが、最後は少しあっけなかったかな。歌姫ユナも面白い設定で、設定的にも実際の楽曲も非常に魅力的なキャラクターだった。ユナが父である教授に話した最後の一言が、とても印象的。
その他これまでのキャラクターは基本的に全員集合。このあたりが映画っぽく、特に最後の100層での戦闘シーン。いきなりどうやってみんな集まった?と驚いたが、劇場版らしいお祭り感があって個人的には楽しめた。何よりSAOクリアによってこれまで見れなかった第100層の舞台でボスモンスターと戦うというのが、ファンにとっては嬉しい展開。アスナのアニメ初登場のマザース・ロザリオとともに木綿季の姿が重なる演出は、ついうるっときてしまった。
シリーズ原点であるアインクラッド編を補完、ARという新設定、新キャラを上手く繋げて物語は展開。戦闘シーンや音楽(特にユナ役の神田さんの歌)も劇場版クオリティーで素晴らしい。キリトとアスナの関係にも進展が見られ、まさにシリーズ集大成で綺麗にまとまったなという印象。率直にいい劇場版だった。
しかしエンディング後、なにやら続編を匂わせるような会話が・・・。原作未読なので詳しいことは分からないが、原作でまだアニメ化されていない物語があるそうで、そちらのアニメ化を示唆する感じだろうか。個人的には今回の劇場版で綺麗に終わらせてもよかった気がするのだけれど。そのあたりは今後の情報次第。続報を待ちたい。