おぬごん さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
見る側の姿勢と度量と経験が試される「恋愛モノ」
ビッグガンガン連載の漫画が原作
原作、もとい他作品時代からの作者のファンで、もちろん原作既読です
この作品では「四月は君の嘘」や「僕だけがいない街」のように、原作や他メディアとともにアニメもほぼ同時に完結するという、ノイタミナ1月枠の定番となりつつあるメディアミックスが行われました
安藤正臣監督、ラルケ制作の「がっこうぐらし」コンビにより、同作同様に原作を意識した雰囲気作りが見事でした
台詞や表情、情景の一つ一つをとても大事にしているのが伝わり、原作ファンとしてもとても満足のいくアニメ化でした
キャストでは皆さん良かったのですが、何といっても茜先生役の豊崎愛生の演技ですね!
キャスト発表の時点で「そう来たか!」って感じでしたが、想像以上の怪演を見せてくれました
アニメ界にアカデミー賞があったら、助演女優賞をあげたいくらいです
あと麦役の島崎信長くんの、好きな人を前に余裕がなくなる演技に、自分の若かりし頃を思い出しましたw
音楽は基本的に良かったんですが、OPだけは…いくら作者がボカロ界隈で活動してたからといって、ちょっと人選も曲調も安直だったのではないかと…ぶっちゃけ、ニコ動から出てきていいレベルの歌い手(笑)には思えませんでした
さて、この作品はずばり、恋愛モノです
ラブコメでもエロでもありませんw
しかもピュアな初恋とかではなく、かなり醜く苦い人の内面に踏み込んでくるような描写がこの作品の特徴となっています
ですので、可愛い絵柄やエロ描写に惹かれた人は面喰ったり想像と違ったりしたかもしれませんね
まあこの可愛く繊細な絵柄からくる耽美ささえ感じるようなギャップと雰囲気がこの作品の魅力なんですけどね
そんな内容ですので、タイトルにも描きましたが、この作品受け手の受け方によって大きく印象が変わると思います
まず1つが姿勢
先述のようにこの作品を萌え系とかエロだと思っていると、展開やキャラの言動に振り回されて作品を楽しめないかと思います
第1話でしっかり恋愛モノとしてアピールしてくれているんですから、素直に恋愛モノとして受け取りましょうw
第2に度量
この作品、メインキャラクターの心情全てを理解するのはなかなか難しいかとは思います
また全体的に、良くいえば文学的、悪く言えばスカした作りになっていると思いますw
「こいつ何でこんなことする(思う)の?理解できんわ(呆れ)」と突き放す前に、なぜそう思うのか理解しようとしたり、理解できないなら許容する心が大切だと思いますw
第3に経験
この作品のPVや1話で語られていた「報われない恋 切ない恋 片想い それってそんなに美しい物ですか」という言葉に代表されるように、この作品ではキャラの数だけ、醜く苦しい恋が描かれています
それらに感情移入できるような経験が自分にあるか…これがこの作品を楽しむための一番のキーだと思います
この作品のキャラは基本的に嘘みたいに美男美女ばかりですが、それは醜い恋を中和するためです!w
ですので恥ずかしがらずにガンガン感情移入して自分と重ね合わせちゃって下さい!
恋愛モノとして楽しめる人にとっては、これ以上の作品はそう無いと思います
気軽に楽しめる作品ではないと思いますが、原作もアニメもオススメです