Keiner さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
見せたいものがわからない
属性飽和が深刻な作品。
作品を通して何を表現したいのかが最初から最後まで分からないので、タイトル以外の印象が薄くなってしまう。
いくつか見どころの候補はあったように思うが、どれも小出しにする程度で、はっきりと打ち出されない。
序盤はエリートサラリーマンの異世界転生ものとして、コメディ色が強く、そこそこ面白いが、これが主題ではないのは明らかで、すぐに話の中心は戦争にシフトしていく。
コメディとして一貫しているのは、後方勤務を願い続けながら、そのために努力した結果、前線に送られるという皮肉であるが、ターニャが前線であまりに活き活きと活躍するので、本当に後方に行きたいと思っているように見えない。
リアルな戦記物という側面もなくはないが、戦争の悲劇的側面や、兵士の苦悩などは、たまに思い出したように出てくるだけで、しかも主人公はほとんど苦悩しない。ついでに魔法の要素は戦記物と相性がやや悪い。
神に抗うという要素は強いてあげれば一番テーマらしく思えるが、神が嫌がらせしてくるだけのおっさんであり、神らしくない。また、ターニャと神との関係性も最初から最後まで変化がない。
「幼女」要素は、萌え要素や悲劇性を強調するために活かされることが多いと思うが、本作ではそもそも幼女ではなくおっさんなので、ギャグ要素以外に活用されていない。
肯定的に言えば、いろいろな角度から楽しめる作品で、各話の構成もまとまっているので、飽きはこなかった。ただ、属性飽和の結果、各要素の魅力がすべて中途半端になり、最終的に悠木碧ボイスくらいしか印象に残らないという残念な仕上がりだった。