赤緑 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
果たして、運命を変えて少女を救うことができるのか・・・雪の北海道を舞台にした静かだが熱い物語
※ちょっと長め(2,300文字程度)
主人公が自分を変えながら運命に抗っていく物語。小学生たちの生き生きとしたコミュニケーションが微笑ましい。親子愛について考えさせられる。
物語以外も質が良くて、安心して観られる作品。
ただ、最後はちょっと駆け足なので物足りなさはある。
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だいぶ前に視聴したのだが、原作が面白いと聞いたので、そちらを読んでからレビューを書くことにした。
漫画原作。略称は「僕街」。
主人公がタイムリープ能力で小学生に戻る話。厳密にはちょっと違うが、ネタバレになるのでまだこれ以上は書かない。
制作はA-1 Pictures。
舞台は冬の北海道。
雪の降る静かな街の雰囲気が伝わってくる。
子供たちが元気で可愛いが、話は基本的に暗い。
ミステリー&サスペンス要素のある作品だが、積極的に謎解きをする話ではないから、サスペンスの方が強いかな。
無力な子供が足掻く様は、観ていて不安になる。そこがサスペンス。
あとは、親子愛。特に母親ってスゴイ。人それぞれだけどね。
余談だけど、{netabare}児童相談所というと『ひぐらし』の沙都子を思い出す{/netabare}。
最初から最後までテンポよく進む。
後半の、{netabare}八代が犯人と思わせたり思わせなかったりするミスリードは絶妙だな{/netabare}、と思った。
派手さはないが、最後まで楽しませてくれる。
しかし、いくつか不満な点もある。
(ネガティブな評価を読みたくない方は飛ばして下さい。)
{netabare}
能力の御都合主義。一般的な超能力や魔法には、それなりに理にかなったルールがあって、そのルールの範囲でやりくりするところが面白いんだと思っている。でも、この作品の「再上映(リバイバル)」は、単にタイムリープするだけでなく、運命を変えるためにどの時点まで戻ればよいかを特定するところも全自動でやってくれるという、なんとも都合の良い設定になっている。運命が引き付けているんだと考えるなら少しはマシになるが、どうしても違和感は拭えない。
他にもストーリーありきになっていると感じるところはあった。ただし、都合が良すぎるのが問題なのであって、その先に展開する個々のエピソードは面白い。
それと、これはタイムリープを扱う作品全般に言えることだが、大切な人とは記憶を共有することで繋がっているものだと思うから、一方が記憶を引き継いでいないという状況は、もう一方が独りよがりになりそうで心配になる。その事実を知ってもなおその思いが伝わる、という展開があればいいけどね。うっすらと記憶があるから、という設定にする方法もあるけど、その場合は共有という点では微妙な気がする。
もうひとつ、これはあまり重要ではない。
原作の通りだから仕方ないんだが、「声に出てた」は使われ過ぎでちょっとクドい。面白いことは面白いんだけど。
{/netabare}
とはいえ、これがあっても話の面白さは変わらないので、評価には反映しない。野暮なツッコミというヤツだな。
それに、好きな作品だからこそ、良いところも悪いところも語れるというものだ。
《原作との違いについて》
漫画は8巻で完結(9巻は外伝)している。原作の5巻の前半までに相当するアニメ9話までは、おおむね原作に忠実。それ以降は駆け足になっていて、特にクライマックスは原作と大きく異なる。これは、単純に尺が足りないのと、{netabare}犯人の正体が明かされるタイミングを遅らせたかった{/netabare}から、それに、{netabare}犯人の心の闇に触れる部分が多いためそこをカットした、{/netabare}ということだろうか。
あと、これは些細なことだが、口癖が一部強調されている。愛梨の「バカなの?」や、ひろみの「大胆」は、印象付けのためか、原作よりも多く使われている。
《作画について》
安定していた。
原作はちょっと癖のある絵柄だが、その雰囲気を残しつつ、アニメっぽいタッチになっている。
子供が可愛い。
女の子も可愛い。メインヒロインだから当然ではあるが、愛梨は可愛い。
《声優について》
青年の悟を満島真之介さん、小学生の悟を土屋太鳳さんがそれぞれ演じている。両名とも、専属声優ではない俳優さん方のようだ。お二方とも、声優は初なのかな?
満島さんは、正直浮いている。そんなに悪くはないけど。
土屋さんは、女優としての彼女の演技力は知らないが、悟役は好演だったと思う。
悠木さんは、この加代のように小学生くらいのおとなしい子の役は特に上手いと思う。第8話の朝ごはんのシーン、すごく良かった。{netabare}第11話の大人の演技も悪くない。{/netabare}
赤崎さんは、元気で可愛い愛梨を上手く演じていた。
高山さんは、珍しく?オバさん役。低い声の時にどうしてもコナンがちらついてしまうな。
《音楽について》
主題歌は、アジカンの『Re:Re』。オリジナルは2004年なので、ずいぶんと古い曲だなと思ったら、アニメと同時期に再レコーディングされていたみたいだ。言われてみれば、声が若くない(失礼)。作品のテーマに合っているから採用されたんだろう。好きな曲だし、単なるタイアップじゃないと感じたので好印象。
劇伴は梶浦さん。強く印象に残ったかというとそうでもないが、全体的に現代劇向けのドラマチックな曲だった。
《総合評価》
設定に強引なところがあるが、子供を中心にしたドラマが面白いので、飽きずに観られる。
大人びているようでちゃんと子供なので、微笑ましい。
物語以外もなかなかポイント高い。
物語:
設定に強引さはあるが物語はとても面白い。
作画:
美麗という訳ではないが、安定+キャラ可愛いのを評価。
雪の北海道の雰囲気がイイね。
声優:
前述の通り、印象深い。
青年悟以外の男性役も良かった。
少年悟、加代、愛梨で4.5。諸々で-0.5。
音楽:
特にマイナスになるところはなかった。
キャラ:
個性的で可愛い子が(男の子も含めて)多かった。
小学生の悟と、愛梨が好き。