blapo26 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
素晴らしい物語 かなりの長文失礼
当時はなんでリアルタイムで見なかったんだと言いたくなる位の素晴らしい作品でした。いくつかのまとめサイトで評価が低い理由が分からないくらい理路整然としていて、どのキャラの行動も納得できる壮大な作品。ロボットものにそこまで造形が深い訳ではない私でもアクションや作戦シーンは楽しめましたし、何よりも主人公3人の心を深く描く作品として楽しみ、時に切なさから涙しました。
最後まで徹底して自分の感情が表に出てこない、視聴者からしても心が読みきれない(そこが彼の魅力の1つだと思っています)主人公のイナホ。彼がアセイラム姫の目の前まで一人たどり着き気絶した後で、感情・本心を隠すことのないAI補助モードに切り替わり、「彼女を自分の一部だと誤認している」=【大切な彼女に恋をしているが自覚がないだけ】という偽りのない恋心が、間接的であるがゆえに明白に彼女に伝わり、同じく王女として育ち、恋というものに自覚の乏しいアセイラム姫が、「私も、貴方を自分の一部だと思っています」と涙を浮かべながら返して手を握るシーンは、今まで見た全てアニメの中でも、最も心に響いた告白シーンでした。お互いが恋というものを掴みきれていなかっただけであり、実はお互いに惹かれあう両思いだったのです。
アセイラム姫は戦争を終わらせ、多くの地球人を死なせない為の唯一の手段として別の騎士と政略結婚をし、新女王として和平に尽力していくことを選びました(どこまでも優しいアセイラムがアセイラムである以上、救えるはずの民の命を守らずにいることなど出来ない)が、イナホに対しての恋心を自覚し、お互いが同じ気持ちでいることを理解してそれぞれの世界に戻っていったのです。あの描写から、結局友達止まりの存在だった、とはとても言えないと思います。
最後のイナホとアセイラムが鳥を見た描写で、二人の本心はどうなのか(美しい思い出に出来ているのか、会えない立場でも好きなままでいるのか)図りきれない表情と声のトーンで終わったのも良かったと思います。ほんの少しだけハッピーに寄ったビターエンドだと思っています。
切なくはあるけども、アセイラム姫が好きな自分でも受け入れることが出来るものでした。・・・不安定な世界情勢的に、何か1つ火種があれば、軍人でありアルドノア戦艦の起動者であるイナホは、再びアセイラム姫に合間見える可能性がある、と思っています。また情勢が動き、アセイラム姫が王女であることと、政略結婚を続ける必要が無くなった時には、お互いに大切な存在であるイナホと恋人になる可能性なども残る終わり方だ、と捉えられると思います。ラスト時の二人はまだ若く19歳くらいでしたしね。エンディングテーマのgenesisの歌詞にもあるように、【この声が響くのなら、この手が届くのなら、いつか君に伝えたい、本当の幸せを】【涙のいらないさよならの先へ】【運命さえ飛び越えていこう、この空の果てまで】。どうもイナホ君もセラムさんを過去の思い出でだけで済ますつもりは無いように暗示されてるように思えてなりません。インコや他の皆と違って軍にも敢えて残っていますからね。自分だけですかね?
さっきも触れたけど音楽も素晴らしかった。特にHeavenly BlueとGenesisが3人の思いを代弁するような歌詞そのものであり、聞くたびに心が揺さぶられてしまいます。
ここで閉めてこそという声も重々承知の上で、なんとなく続きがあるんじゃないかなと思いながら過ごしています。ここからまたお互いに再会したスレイン、イナホ、アセイラムの掛け合いと気持ちがどんなものになるのか見てみたいです(スレインは少々厳しいかもしれませんが・・・)。そう思わせられる幕引きと余韻でした。感謝です。
私は人間ドラマを心の底から素晴らしいと思ったのですが・・・気に入らない方は、どうやら三話まででガンダムのような戦争&一進一退の駆け引き&仲間の死を乗り越える主人公のようなものを期待していた方だと思います。三話まではそういった見方も出来る作品だったので、なまじそういった別タイプが好きな方を引き寄せ過ぎてしまったが故に、不幸にもそういった方々の不評を買ったのだと思います。私のように、初めからそういったsf戦争の醍醐味とかよりも、登場人物の心や対比にフォーカスして楽しむことがメイン。でも、あまり詳しくないけどロボット描写も綺麗で興味深いじゃないか。というスタンスの方であれば、叩きようのない完璧な作品に近いのではないでしょうか。