一日分のビタミン さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
散漫な印象
評価が高かったので見ましたがちょっと肩透かしをくらいました。
合唱部5人(正式には合唱時々バドミントン部)のエピソードをとりとめなく詰め込んでいて散漫というか脈絡がない印象でした(だから【たりたり】なのでしょうが)。それぞれ大事なものがあるのはわかるんですが、青春群像というには和奏くらいしか人物を深堀りできてなくて、後の4人は取ってつけたような「子供の頃から好き」程度の設定で感情移入できなかったです(特にウィーン)。騎手を目指している紗羽に至っては見栄えのする乗馬シーンありきの設定なのではと疑ってしまいます。男子2人は女性陣から空気扱いで影が薄く、男声要員として入れましたくらいの印象しか残らなかったです。
敢えて好意的に見れば、彼らのとりとめのなさが逆にリアルと言えなくもないのですが、物語上で問題があると思ったのは彼女らの前に立ちはだかる大人達、特に声楽部顧問の教頭の描かれ方です。彼女は来夏のような「音楽を遊びでやっている人間」や途中で音楽科から普通科に移った和奏に厳しく接し新たに結成された合唱部には批判的です。その背景にはかつての声楽部の同窓で音楽の才能のあった和奏の母と才能のない自分という関係が仄めかされてはいるんですが、いまいち背景を描いていないため単純に嫌な先生になってしまっている。後半にはつらく当たることもなくなりますが、学校の事情という外的要因で態度が軟化したようにしか見えなかったです。
発表会で失敗し声楽部を辞めた来夏が友人の紗羽の協力を受けながら新たに合唱部を結成して文化祭のステージを目指すというのが本作の骨組みですが、作品をひっぱるはずの来夏のモチベーションが単純に歌うのが好きという程度のため物語の求心力が弱い。楽しむなら楽しむでいいんですが、そこに音楽に関してシリアスな過去を抱えた和奏が絡んでくるので全体として話がチグハグになってしまっている。これなら他4人のメンバーのエピソードをそこそこに最初から和奏を中心に据えた話にした方がよかったのではと思います。