beatle さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観たい
気づけばジャンプで読むのワンピだけ (心の俳句 字余り
少年から大人へと、時間は無常にも過ぎ去り止まる事を決して許しません。
このワンピースには読み始めた僕の中学からの軌跡がたっぷりと詰まってます。部分部分のパートによってあの頃の自分はこうだったなぁだなんんて思い起こせます。
ハイテンションギャグコメディ海洋ロマンスを今でもひたすら突き進んでいますが、ストーリーの裏側は陰惨で惨たらしく非常にグロテスクです。同じストーリーを他の漫画家に描かせたら天と地程の差が開くでしょう。
死、一点にマクロな視点で見れば、本作がどれほど残虐なストーリー性を孕んでるかは明白であり、そこをよくよく理解しているある種の「大人」に共感を得られるのが本作の魅力なのではないかと思います。この世の中半分以上は無秩序な悪で成り立ってると思うので、近頃はワンピを読む度顕著に面白く感じます。
欲望のためにどこまで自分を犠牲にできるか、一種の思考テストを考えていた時期に、本作の刑務所から悪人を解放しつつ自分の兄を救出しようとした本作主人公にぶちあたりました。
嗚呼、なるほど。と思いました。
結局のところ、この世界に生きる人々は自分だけの事しか考えず、他者の事を考えるなんて高度な処理能力を持っていないなぁっと深く考えさせられました。
TEDだか白熱教室だかで、世界で一番頭が良いであろう集団、グーグルの社員が使った男性用小便器を思い出しました。駅の公衆トイレと何一つ変わらない使い方をしていたからです。
他人なんかどうでもいいから、自分の夢だけをかなえたい。
自分自身は善悪を信じてませんが、本作の主人公がどれほどの悪なのか、主人公が及ぼす広大な悪影響はいか程か。少年漫画にあるまじき行為なのではないか。
それでも、仲間を見捨てて、自分を傷つけて、先へ先へと面白おかしく進んでいくタフな主人公に、憧れを禁じえません。
結局のところ、この世の中は外国と外国との戦争はしていないだけで、家庭で、学校で、会社で、或いは社会で、常に生存競争に勤しんでいるのですから、本作の蛮勇を、或いは勇気を、ちょっぴりでも感じながら読むと、多少なりとも救われた気がするのです。
本作で一番好きなキャラは主人公の対極に位置する本作で最も海賊らしい海賊の男なんですが、この男も、親同然の男を自分の欲望のために殺したり、一時の虚栄心のために他者の殺戮へ挑もうとしたりするのですが、命懸けとは正にこの事で、アグレッシブな生きる姿勢に、ただただ息を飲むばかりです。
極端な言い方をすれば、
「50%の確率で死ぬけど、50%の確率で一億円一瞬で手に入るスイッチがあるけど、押す?」
みたいな感じですね。
僕は押せません。が。上記に挙げた二人は必要ならためらい無く押すでしょう。それが必要なら。僕にもお金は必要ですが、それでも押せません。
これを軽々しくやってのけるのが、意思の強さ、生きる強度の違いというのでしょう。
最高な事に、この世の中はイージーモードで、あまり考える事をやらない、一時の快楽主義者は九割を占める世の中で、意思さえ強ければ何度でも死なずにやり直せる事が許される社会なのですが。
自分も勿論その中の一人で、本作に自分自身が出てきたら、果たして僕はどのキャラクターかよくよく考えていた事がありましたが、結局名前すら明記されていない海賊に殺されるだけの役回りの海軍といったところでしょうか。
この世界にも、事実上の奴隷が存在し、自由の癖に縛られてる善人が多く、最悪な事に悪人が闊歩する世の中ですから尚の事そう思うのです。
本作ワンピースに出てくるキャラクターで力を持っていないキャラクターは出てきません。当然といえば当然ですが、現代社会も、それと似たような事が起きています。アイデンティティである自分を自分たらしめる特殊技能がなければ、自分自身に価値を見出せる事ができないのだと。誰にでもできる簡単なお仕事をひたすらやって続けて、年齢だけを重ねてその後の人生に期待なんて出来るはずもなく、死後の世界を夢見て朽ち果てる前に、多分きっと絶望しながら死んでいくんじゃないだろうかと思うのです。
勿論自分の話ですが。
それに比べて、自分の夢のために自分の魂や信条、健康、時間を捧げれる人間の如何に清々しいやら。
一度きりの人生にビッグチャンスを求めて、死なない程度に頑張る。そう思っていても、本作の主人公は眩しく輝いて見えるのです。
本作の好きなキャラが、黒髭ティーチって言うのですが、彼が言うんですよね、正義や悪だのくだらねぇ、そんなの世界の果てまで探したってみつからねぇだろってそんな感じのセリフを言ったのですが、正にその通りだと当時の自分は納得しました。
ちなみに、そのパートに敵役であるハンニャバルがこんなセリフを言ってます。
「お前達海賊が野放しになっているだけで、庶民は愛する人を失う恐怖で夜も眠れない!」
これが二番目に好きな台詞で、二番目に好きなキャラクターなのですが、主人公と対決した時、思わずこっちを応援したぐらいです。思わずこのセリフを見たときは涙を流しました。極刑すらも生ぬるい大犯罪人なんですよね、主人公は。
自分を悪、若しくは薄汚れた白だと認識している人の多さが、本作の人気に繋がっているのではないかと、僕はそう分析しています。
善悪も清濁も濃厚に混じりあって人間だと思っているので、要は世界はワンピースみたいなものかもしれません。
新卒を好む理由も、刷り込みしやすいからってのが企業の理由な訳で。
結果としてアニメは現実逃避の道具であり、用法容量を守って正しく視聴しないとトンデモナイ結果に繋がるわけで。
女は収入の良くてハンサムな男を探して、男は顔がカワイイ性格良さそうな女を求める。
何時の時代も変わらない世の中ですよね。これってどこぞの何かの構図に似てませんかね。
ワンピースを探す少年とか。
いい加減、もうそろそろ探すの止めませんか。っていうワケにもいかないですよね。なぜなら生きるのはそういう事だから。生き続けるってのは闘い続けるって事なのだから。
今でも、ジャンプをめくれば、あの頃も輝いてたルフィが見果てぬワンピを追い求める冒険活劇が見られる。
完結も当分先のようですし、まだまだユーのワンピースを探すのも、諦めずにめげずに頑張るのもアリかもしれませんね。
ワンピース、探しましょう!
とりとめのない雑文になりましたが、失礼を。本作はアニメは長いので先ずは漫画から入って頂きたい。非常に面白いです。最新巻まで主人公の無茶についていけたら、きっとあなたは立派な海賊なのでしょう。
あらゆる大罪を犯しながらも、それでも笑って前へ進み続ける主人公が、今の自分には眩しくてたまりません。自分は漫画完結後に視聴を始めるつもりです。二十年後か三十年後には。その頃の自分は、果たしてワンピースを見つけているのやら。