ゲリオ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
これもひとつの名作の形だが
2017年冬、もっとも話題になったアニメです。放送前に本作がここまで化けると予想した人は一体何人いたのでしょうか。
正直に申し上げますと、私は1話冒頭でサーバルちゃんが「みゃあ~」と追いかけるシーンで切ってしまいました。ええ、5分切りというやつです…
それが一ヶ月後くらいにネット上で本作が大きな話題になっており、まさかと思って見直したわけです。
そして最新話に追いつくころには「たーーーのしーーーー!」とすっかり本作の虜になってしまったわけです。見ていて脳が幼児退行化するというか、幸せな気分に陥るある種の中毒性みたいなものがありました。
いや、初見でCGのクオリティを見ても分かるように明らかに低予算なアニメですけど、むしろそこが愛嬌があって作品にプラスに働いた要素でした。フレンズが無表情で立ってるだけでツボになる可愛さです。
また、一見子供向けのアニメであるにも関わらず、要所要所で垣間見える不穏さも本作で注目された部分でした。人類が絶滅したというショッキングなワード、また本作の原作であるアプリがアニメ化前に終了した点を踏まえるに、もしやアニメで描かれているのはアプリ終了後の荒廃した世界なのではないか、などなど様々な考察がなされました。
そういう不穏さがありつつも、基本的には明るいムードで優しいストーリーが展開されていく構成は視聴者の心を鷲掴みにする上で非常に巧みな作品だったと思います。
ただ、本作を他のアニメと比較した上での名作と呼べるのかという点については否定的ではあります。
というのも、けもフレが爆発的に話題になったのは複数の偶然が重なり合って生まれた現象であると思うからです。
低クオリティによって生まれたキャラへの愛嬌、声優さんのアドリブから生まれた語録、そして最大の要因はネットを媒介に拡散的に生まれた本作に対するお祭り騒ぎでしょう。
「空気アニメであったのが実は意外なダークホースだった!」この衝撃の事実に視聴者はSNSなどを通じて過剰なパニックを起こし、制作サイドが予測する範疇を超えてのブームが巻き起こってしまったというわけです。
以上のように作品の面白さ+複数の偶然が折り重なって生まれたのが、けもフレブームなんじゃないかなと考えられます。
つまり、本作を否定するわけではなくて、あくまで名作の形のひとつであって、全てのアニメが手本にしても真似はできないということです。
最終回の締め方を見るに近々必ず2期をやると思います。これだけ話題になったから当然でしょう。
ただ、場合によっては2期は大コケする可能性は少なくないと思います。真剣な話。