岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
キャラクターの成長が感じられる良作続編
原作未読。1期・Extra Editionに引き続き視聴。
1期同様に複数のゲームにキャラクターたちが参加し戦っていく物語構成。
序盤の銃の世界のゲーム(GGO)から新キャラの女の子が登場し、主人公とダブル主人公という形で物語が展開される。キーキャラクターのデスガンなる人物と、1期のSAO編の殺人ギルドを絡ませる展開は面白い。特にSAO編と同様にプレイヤー自身の命がかかってくる緊迫したゲームの世界観はやはり面白い。銃の世界なのに主人公が剣で戦うのは王道ではあるが、やはり剣と銃の戦闘シーンは盛り上がるし迫力・演出も素晴らしかった。
この物語では主人公がかつて奪った他のプレイヤーの命について葛藤したり、シノンもまた戦いの過程で過去のトラウマを克服する。このお話のテーマである「命」「強さ」とは何かをキリトとシノンが互いに模索するなど、キャラクターの心理描写が1期より丁寧に描かれている印象。最終的な犯人の動機は全く理解できなかったが(理解したくもないのだが)、最終的に綺麗な形で収まったように思う。
中盤の伝説の剣のエピソードは、スピンオフ的な立ち位置であまり肩肘張らずに楽しめる内容。すらすらと見れたし、色々なキャラクターが登場し活躍する姿は見ていて楽しい。息抜き的な意味合いもあったのかもしれない。
最後の物語は主人公よりもヒロインがメインのお話。ヒロインは2期であまり出番がなかったので嬉しい登場。主人公がAIのために開発した技術が終盤に繋がったり、ヒロインが母と向き合い自分の壁を越えていく展開もいい。
このお話のキーキャラクター・木綿季について。彼女が闘う具体的な病名を出したことで、より命の重みを感じさせる内容になっている。エイズの説明も丁寧にされていたと思うし、誤解や偏見を招くようなものではなかったと思う。彼女らのように現実世界で様々な制約の中で生きる人間にとってのリアルとは何か、といった難しいテーマも扱っている。仮想世界でその時間の多くを過ごした木綿季の生涯は、私たちにとっての現実やリアルが必ずしも今生きているこの世界に限られたものではないことを示してくれている気がする。
終末期のターミナルケアにゲームの先端技術が用いられる設定や、現実と仮想の違いとは何かという議論も興味深く、そこに茅場の姿が見え隠れするのも余韻があってよい。
それぞれの物語にそれぞれのメッセージ性やテーマがあり、それがキャラクターの心理描写とともに丁寧に描かれていると感じ、1期より好印象。1期で死のゲームに巻き込まれた主人公とヒロインがそれぞれ様々な経験を経て、主人公はゲームをプレイする側からゲームを創る側・ヒロインは誰かを支えて見守る未来を描き出したあたりに、キャラクターの成長を感じる。
心理面などの1期の課題点を克服しながら、全般的な作画やOP・ED楽曲、声優さんのお芝居は1期を超える充実度。個人的に2期の作品は1期に比べて辛口の評価になりがちなのだが、本作はむしろ2期の方が楽しめた。
2クール×2期という結構なボリュームだったが、最終的には見てよかったなと思える作品になった。