「クズの本懐(TVアニメ動画)」

総合得点
83.4
感想・評価
1031
棚に入れた
5277
ランキング
326
★★★★☆ 3.6 (1031)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

kurogoma さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 1.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

少しモヤモヤ

この作品は恋愛要素がとても強い作品で、だけど決して綺麗な恋愛ではなく
ドロドロとした泥沼に沈んでいくような感じのアニメで、
本来、個人的にはそういうドロドロとした作品は嫌いではないはずですが
この物語に全く乗り切れませんでした。

まず、このアニメの冒頭で主人公の花火、同じ境遇の男子である麦が
お互いに好きな先生と付き合いたいが、お互いが好きあっている先生同士の仲がいい感じで
仮に告白しても上手くいく可能性は低い。だけど、諦めきれないのでお互いの恋を応援し合って
だけど、好きな人がいても人寂しいので代替行為として本番はしないが性的行為の耽る。
そんな屑の自分であっても大好きな先生と幸せになって見せる!というような目標が提示される

しかし、その割には花火自身は先生と付き合うために例えば、
慕っている鐘井先生に妹分ではなく一人の女と見られる為にアプローチをしたり、積極的にデートに誘うといった努力は一切せず、
この手の作品でよくある、麦が同性の気安さを活用して鐘井先生から女の趣味を聞き出して、それを教えてもらうといったものもなく
では、何があるのかというと意味有り気なベッドシーン(本番なし)と唐突に心中吐露として挟み込まれるポエム、
親友とのレズベッドシーンとビッチ先生の後追いをして迷走するといった頭の中に?マークを生む展開が続き、
なんか勢いで告白することを決め、お互い告白失敗したらという留保付きとはいえ麦をキープ状態で告白して玉砕し、
それで「本気で好きだった」と泣き、「頑張ったのになぁ…」と落ち込む
結果、客観的にみているこちら側としては感情移入など出来る訳も無く「は?お前何言ってんの?」としか思えず
総じて何がしたかったのかが解らずに困惑したまま終わる。
これならまだ、強い殺人衝動を持ち人を殺さずにはいられないというサガを持つが幸せに生きてみせる!と豪語する
ジョジョ4部のラスボス「吉良吉影」の方がまだ心情理解ができるというものです。
何故なら、衝動に抗う努力をしたり、目撃者や死体の処理なんかは一切手を抜かず、日常を続けていくことへの努力は欠かしていないので

あと、人間関係のいざこざに対する処理の雑さも気になった所で
例えば、主人公の花火に同じ女の子でありながら恋心を抱いて、そういう関係を持ってしまう早苗(えっちゃん)のエピソードでは
唐突に彼女を慕い、彼女の歪みさえも受け入れられる従兄弟(篤也)が登場してから関係解消に向かい、
この作品のラスボス的な存在であるビッチこと茜先生の問題も、良く言えば鐘井先生が彼女の歪みさえも受け入れられる人だったというだけで
どうして浮気してもいいと言えるのか?という深い掘り下げも無ければ、独占欲の無さを人間的な欠落として描いたり、
お互いどこか欠けた人間同士補完し合う関係になっているといった視点も無い。
毎回挿入される派手なラブシーンを抑えて、もう少し複線張りや回収に描写を割けばいいのにと思わずにはいられませんでした。

そして、個人的にこの作品が持つ最大の問題点についてですが、それは、この作品の設定そのものです。
本気で好きな人がいるのに他の男(主に麦)とイチャイチャするというのは一万歩譲っていいとして
二人の関係が、二人の時だけの秘密の関係ではなく、周囲では恋人同士として周知され、それについてフォローしないというのは不自然としか言いようがなく、
結果的に、茜先生はビッチだったからそう言った所は気にしないだろうが、真面目な鐘井先生の場合は「君は恋人がいるんじゃないの?」と言われれば告白どころじゃないはずだ。
だというのにそういった飲み込み辛い設定を飲み込みやすくするような描写も無く、こちら側が無理やり飲み込まないと成り立たないレベルの話の粗や不足した描写、
それに反して倫理や道徳に反した描写が非常に多く、素直には楽しめませんでした。

最後に良かった部分を挙げると、みんな幸せなハッピーエンドで終わらなかったのは素直にいいと思いました。
花火や麦はやはり倫理道徳に反した事をしていたのでそんな二人が安易に幸せになることも無く
だけど、花火は人や他人の好意との向き会い方を考えるようになり、ビターではあるがきちんと成長を感じられる終わりで良かった。
あと、物語序盤において麦に恋するのり子(モカ)に対し、独占欲と優越感から自分より格下の子供と見ていた花火が
学園祭のファッションショーで輝き、同級生達から賞賛されているのり子姿を見るというシーンも
お互いの恋愛観や決断や覚悟の違いがそれぞれの立ち位置に対照的に描かれていて感心しましたし凄いカタルシスがありました。

総評
散々酷評めいたことを書いてきたものの、決して見るべき所がない作品だとは言いませんし
私が書いたことも、ズルい言い方ですがただの一個人の感想でしかありません。
ですが、この作品は合う人合わない人がはっきり分かれるタイプの作品だとは思うので
この作品を見て、自分がどういった恋愛観や道徳観を持っているのか
自分はこの作品だと○○寄りの感じかなぁ…みたいに考えてみて見ると面白いかもしれません。

投稿 : 2017/04/02
閲覧 : 161
サンキュー:

3

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