シャベール大佐 さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
狭い範囲だけを深く掘り下げる恋愛アニメ
お互いに本当は別に好きな人がいるのに、疑似恋人のような関係になっている安楽岡花火と粟屋麦という2人の高校生と、それぞれの恋に関わる人たちを描く恋愛物。ノイタミナ枠で全12話。
とりあえず観始めて中盤くらいまでは、ぶっちゃけたいしたことのない問題をやや大袈裟に描いているような印象でした。恋愛に限らず、いちばん欲しいものが手に入らないから妥協して別のものを選ぶといった行為は誰にでも全く普通のことで、別にクズというほどでもないだろうに、なんて思いながら眺めていました。作品の後半になって、粟屋麦の片思いの相手である皆川茜を掘り下げて描くようになってからは、なかなか面白かったです。ちゃんとクズっぽい行為をしているのだけれど、本質の部分はどうもそれほど酷い人間というわけでもなく、なんというか、生き方にセンスがない気の毒な人といった感じもして、ちょっと気になってしまうような魅力のあるキャラでした。
ストーリーとしては、特に何か凄いことが起きるわけでもありませんが、恋愛という、第三者から見たらどうでもいい些細な問題だけれども、その当事者にとってはどんな大事件よりも重大だったりするものを、完全にその内輪の人物の心情のみに的を絞って、非常に狭い範囲だけを深く掘り下げるような描き方をしていたのは良かったです。
また、この作品がエロいということが話題になっていましたが、よくある裸やパンツなどを描く作品が男子向けグラビア的なエロさとすると、この作品はなんというか女性向けメロドラマ的なエロさといった感じがして、アニメではやや珍しいタイプのような気がしました。
作画はとても綺麗。この作品の内容や作風からすると、もし作画が良くなかったら、作品の魅力は大きく損なわれていたと思います。
音楽はOP、ED、ともに好きでした。
最後まで観終わって、全体としてはまあまあ楽しめました。ノイタミナ枠らしい、独自性や攻めの姿勢みたいなものも感じられて、悪くない作品だったと思います。