あすは さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
神話的な世界と物語
今期の一番の人気作品になってしまった感のある「けものフレンズ」です。
正直、どうしてここまではやったか、よく分かりませんね(^^;
個人的にはスナネコが大のお気に入りなので、大好きなんですけど(^^;
どうやら大きな破滅の後に残った、人型になった動物たちのお話しで、打ち捨てられたパークの施設などが散らばり、管理するロボットらしきものが残って整備を続けています。
こういう雰囲気の話は大好きなので、まずここに惹かれました。SFでは遠い未来のこういう話は割とよくあって、そういうのは大好物なのです。基本的には、「破滅後の牧歌的な未来」ものの設定に完全にのっかった作品です。さらに、その世界を表現するのに最も適した「旅もの」の定型もそなえています。
チープな感じのCGですが、設定、物語はよく練られた感じだし、個性豊かなフレンズたちの魅力(その個性もその動物の習性などがうまく織り込まれていて理由のある個性です)、謎を小出しにして興味を続かせるうまさもあり。
ネット上で、これは「人形劇だ」という感想を見て、なるほど!と得心がいきました。CGのちょっとぎくしゃくした動きが、NHKなどで昔よくやっていた人形劇っぽいのですね(三国志とか見てましたっけ)。
もしかしたら、きれいに動かせるだけの予算がなかったので苦し紛れにとか、そういう落ちかもしれませんが、これが独特の雰囲気を作っています。
激しいアクションもそんなに必要ないし、お話し自体がよく出来ているので、アニメーションそのものよりむしろ話の筋に興味を向かせるのに、一役かったといえるかもしれません。
ただ、このCGだと、映像に「慣れる」までちょっと時間がかかるかもしれませんね。
あまり感情を込めない声優の演技も、うまい演出だったと思います。あまり自分の生活以外の深い知識などないだろう動物ですから、そういう演技がすごく「らしく」聞こえます。
感情のないものが段々感情を覚えていって…という卑怯なw王道パターンです(スタートレックのセブンオブナインとかが代表かな)。だから、最終話付近になって、感情をはっきり見せるようになってきたサーバルちゃんに、とても心動かされます。(ところで、サーバルちゃんがミライさんを見て涙を流した理由は、結局最後まで明かされませんでしたね。一度記憶を失ったけれど、何となく心の奥底には残っている、とかでしょうか)
このように、さまざまな定型に沿って魅力的なキャラを描いた、もう一度最初から見直したくなるような、すばらしい作品だったと思います。
(「定型に沿っ」たというのは、全然悪いことではなく、むしろいい作品に必須の常道だと思います。遠い昔から今に残る神話に、すでにほとんどの定型が含まれている。つまり、「けものフレンズ」は新たな神話的世界といえるかも)
OPもいいのですが、特にEDは今期一番だったと思います。
思わず、EDの収録されたミニアルバムを買ってしまいました(他の曲もよかったよ)。
EDの廃遊園地の映像もよかったなあ(廃墟大好き)。