えたんだーる さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
新劇風の異色作
原作無しのOVA作品。
私の鑑賞初見はLD(レーザーディスク)でした。それだけで古さがわかりますが、この頃はOVAの制作がけっこう盛んでした。
実は私は押井守監督作品とは相性が悪いようです。理由を考えてみたのですが、氏の監督作は原作があるものやメディアミックス展開されているものが多くて、それらについては他のメディアでの作品とアニメの内容が「別物」っぽく感じられるからではないかと思います。
アニメではない状態の作品を気に入って氏によるアニメ化作品を観ると「これは違う」となってしまうわけです。
その点、本作はオリジナルで比べる対象がないので気持ちを落ち着けてニュートラルに観ることができました。
本作品の演出は一風変わっていまして画面の中に固定の舞台があって、その中で演劇が行われているような体になっています。
画面は基本的にその舞台を客席から観ているような固定視点なのですが、ごく稀にその「お約束」を忘れたかのような、「別のロケ地で撮影した」みたいな画面になることがあります。これを「おいおい、聞いてないぞ」と思うか「そういうものか」と思って受け入れるかで、本作品の評価のひとつの分岐点になるかと思います。
受け入れた上で観ていると、舞台を外れた画面は「超展開」につながっていきます。なんというか、「舞台劇を観ていたら強制トランスさせられた」みたいな気持ちになります。
それと、登場人物は基本的に変人しか出てきません。またキャラクターデザインの絵柄が独特で、これがダメということになると本作品の鑑賞はアウトだと思います。
まあ、新劇とかアングラ演劇が好きだったら結構行けるかなあという感じのとても実験的な作品です。
私個人の好みとしてはさておき、あんまりお勧めはしないです…。