おぬごん さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
けものフレンズ現象を読み解く
アプリのサービス終了、コミカライズもアニメ放送中に連載終了、このアニメも第1話は糞アニメ扱い
そんなドン底の逆境から、2017年冬最大の話題作に躍進した世紀のダークホース…そんな「けものフレンズ」
「まどかマギカ」「ラブライブ!」「ユーリ!!!on ICE」などの人気作も放送開始当時は(今思えば)さほど話題にはなっておらず放送中に人気に火が点いていきましたが、これらの作品にあるようなバックのサポートも無く、これらの作品をも超える落差を駆け上がった作品は、今までもこれからも無いのではないでしょうか
私も迸る地雷臭からネット上で話題になってからもしばらくは見る気が起きなかったのですが、最終回を前にした異様な盛り上がりに引かれ、ニコ生の1~11話一挙放送で視聴、最終回に間に合わせましたw
じゃあなぜ、けものフレンズはここまで爆発的な流行を見せたのか、今回ははそれを考察していきます
さて私は11話以降に視聴開始してしまったため、1話がともすれば糞アニメ扱いされかねない内容ということや、11話で阿鼻叫喚が待っていることは何となく知ってしまっていましたw
なので詳細は知らないながらかなり冷静な目で11話までを見てしまったのですが、それを承知で11話までの感想を言わせて頂くと「よくできてるけど…でもまあ騒ぐほどでもないか」って感じです
徐々に明かされていく謎にあれこれ考察しながら語ったり、10話までの雰囲気に浸った上で11話を迎えて衝撃を受けたり…そういったライブ感をSNSや動画サイトで共有してこそ、このブームに乗ることができたんでしょうね~
実際、最初で最後のリアルタイム視聴となった最終回12話は、その王道展開や伏線回収、そして新たな考察材料の投下などのお陰で非常に楽しく視聴できました
じゃあ何でここまで流行ったのかということですが、これは「①安っぽさ ②緩さ ③意外性のある王道展開 ④作り込みの丁寧さ」が絶妙なバランスで噛み合った結果だと思います
3DCG作画や新人声優の多用に加えゲーム等の失敗からくる安っぽさ(①)が、狂気さえ感じる緩い雰囲気(②)の免罪符となり、また安っぽさと緩さがディストピア的世界観と後半の王道展開(③)に意外性を与えた、それを支えたのが動物の描写や巧みな伏線、上質な音楽といった作り込み(④)…という感じです
で、何と言ってもこの①が肝ですよね…だってこんなん真似したくてもできないもん!www
もちろん②~④も必要不可欠だったと思いますが、この作品内外から生まれた安っぽさこそが、けものフレンズを唯一無二の存在に押し上げた原動力だと思います
そして先述のとおり、この安っぽさは真似したくてもできるものじゃありませんし、うわべの安っぽさだけを真似しようとしても、バレバレで寒くなってしまいダダ滑ること請け合いです
まあ②の狂気染みた緩い雰囲気もそうそう真似できないと思いますが…(余談ですが、ネット記事に挙がってた「けもフレ語はキャバ嬢のセールストークに似てる」って説が面白かったです)
まあそんなわけで、けものフレンズは今後もフォロワーを許さない唯一無二の存在になると思ってますw
ところでBD1巻が付いた公式ガイドブックがとんでもなく売れてるみたいですが(一説には14万部とか←追記:14万はデマみたいです…)、
これは作品の出来ももちろんですが、全体的な装丁・デザインの素晴らしさによるところも大きいように思います
実際のガイドブックや図鑑のようなデザインに加え、色彩感覚の美しさ…購買意欲、収集意欲をかき立てます
こういったそれぞれの仕事へのこだわりが、この作品の人気を押し上げてるんですね
最後に、一人でも動物園によく行くくらいの動物好きとしては、この作品で最も印象的だったのが動物描写の細かさでした
6話で門の前でうろうろしてたツキノワグマとか、9話の温泉でくつろぐカピバラとか、作中で説明されないようなところにもネタが散りばめられていたのが何ともツボでしたw
キャラ原案の吉崎観音先生や、ケニア育ち(!)のたつき監督の情熱がそこかしこに見受けられましたね
この作品で動物に興味を持った方は、ぜひ現実の動物のことも調べてみてくださいね!面白いですよ!