じぇりー さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 2.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
映画のように始まり、映画のように終わる。復讐の先にあるものは…
禁酒法時代、目の前でマフィアに家族を殺され、ただ一人生き残った少年が7年後、差出人不明の手紙を受け取ったのをきっかけに、マフィアのファミリーに近付き復讐に手を染めていく91日間の物語。
アメリカのマフィア映画の雰囲気を感じさせつつも、暴力的なだけではない、運命を狂わされた憐れな青年の憎しみと悲哀が繊細に描かれている。
男たちの世界を描いた硬派かつシリアスでハードボイルドさが特徴の本作だが、音楽からも感じられるように退廃的で哀愁に満ちた雰囲気も、他のアニメではあまり見られない作風で、個人的にはこういったムードもなかなか良いな、と感じる。
「マフィア」「復讐」と聞いただけで、血の流れない物語など想像できないだろう。
そう、この物語はいかにして主人公・アヴィリオが復讐を行っていくか、そしてそのことでどのような事件や人間模様が巻き起こっていくかが見所となっている。
正直、序盤はややスロースタート気味なので、ここで視聴を止めてしまう人もいるかもしれないが、中盤以降、予想を上回る怒涛の展開が次々と起こり、目が離せなくなる。
アヴィリオの復讐に加え、{netabare}裏切りや、マフィア間の抗争、ファミリー内での分裂構造など、物騒なことこの上ない状況なので、当然キャラクター達が次々命を落としていくことになるのだが、そこが作品のメインテーマではないにせよ、誰が・いつ・どのように死んでいくのかが物語の進行上重要な要素であることは間違いない。
そういう意味では、復讐の連鎖が生み出す命のやりとりの模様は、予測だにしない方向に進んでいく。え、もうここでこの人死んじゃうの?とか、この人が殺しちゃうの!?とか、想像を遥かに超える退場劇の数々。{/netabare}
そして最終話。それまでのストーリーやアヴィリオが発してきた言葉の数々・表情などから、ある程度ラストの光景が見えていた気がしていたが、完全に気のせいで終わった。
忘れてはいけないのは、この作品はオリジナルアニメーションだということだ。つまりきっちり12話で完結している。
それを踏まえた上で一つ言えること。数々の憶測を呼び、賛否を巻き起こしたラストシーン、私はこれに完全にシビれた。
これ以上は何も言うまい。気になられた方は視聴されたし。
声優に関しては、一部のキャスティングに難ありだったと言わざるを得ない。
この作品には必要な「重厚感」が足りない。ぶっちゃけチンピラ役なら誰がやってもそれなりに聞こえるだろうが、マフィアなのだからもっとドスが効きつつもクールさがあって、かつ色気も欲しいところだった。
最後になるが、これから視聴される方に注意して頂きたいことが一点。
公式HPは、全部視聴し終わってからご覧になられることをお勧めする。最新の相関図があからさまにネタバレしている。
これを見そうになって慌てて目をつぶった私。いやー、危機一髪だった。