不如帰 さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

このアニメ、侮るなかれ

※１期の分の感想も含めてこちらに記載

友人に勧められて観ました。
…正確には、勧められはしたものの、あまり期待していなかったのですぐには観ませんでした。
失礼ながら題名から、『きっと面白くなさそう』という先入観があったことが原因だったのですが、結論をいうと壮快にその”期待”を裏切られた感じです。
以下、詳細を。

{netabare}
まず、意外にも哲学描写が多いこと。
主には八幡の思考にそれが多く起用されていましたが、簡単なようでなかなか解釈の難しいものばかりというところに観応えを感じていました。

次にキャラクターの持つ個性。
八幡のそれは言うまでもありませんが、周りのキャラクターに関しても登場してから間もなくして立ち位置がハッキリしてしまう設定は見事だと思いました。
言い方をかえると『わかりやすい』ということにもなるかと思います。

そして、物語。
基本的には”奉仕部”という舞台が中心となり、数々の依頼をこなしていくという流れは一定ではありますが、そんな中で時折出現する奉仕部内の問題に本当の観応えがあるように感じました。
特に２期では、そういう場面で哲学的な訴えを多く併せ持ったストーリー設定が組まれていたので、そういう意味では実に２期らしいアニメになってたと評価します。
{/netabare}

他にも、作画や音楽も好みに近かった部分もあって
総合して高い評価になったという結論です。

そして個人的には哲学要素を持ったアニメだったという意外性が一番印象に残っていて、実は今まで３度通しで観ていますが未だに飽きがきません。
本当に、”意外”なアニメでした。
同じく”食わず嫌い”で観るのを躊躇されてる方がいましたら、一度は是非観るべきです。
もちろん好き嫌いは様々なので確実性はありませんが、それでも言わせていただくと、きっと良い意味で期待を裏切ってくれます。

さて、最後に解釈の分かれた最終回のシーンですが
３度通して観た私個人としては以下のように考えています。

{netabare}
取り上げるのは、最後の結衣の行動とその後の各々の反応について。
雪乃と結衣が持っている八幡に対する恋愛感情に既に気付いていた結衣が、大きく勝負に出たシーンになります。

この勝負は、３人の関係が崩れてしまうというリスクを持ち、それはすなわち奉仕部が続けられなくなる結果に繋がってしまう、大きな賭けでもありました。

まず結衣の言動から解釈したのは、結衣と雪乃の恋愛放棄＝３人で仲良く（奉仕部の存続）、という意図。
この時点で雪乃の八幡に対する恋愛感情も確固たるものになります。
続くように結衣は雪乃に判断を迫ります。追い込むように。
恐らくここでは、これまで人に付いていくだけだった雪乃から自発的な意志を絞り出す為に揺さぶっていたのではないかと考えています。

ところが、雪乃が答えを出そうとしたときに八幡が結衣の考えを退けます。
この時発せられた「雪ノ下の問題は雪ノ下自身で解決すべき」という言葉が、この３人の今後の流れを固める重要な発言だったように思いました。
つまり、
雪乃は自分の意思で動くべき＝家のこと恋愛のことに対して我儘になって欲しい
ということ。
また結衣の「そう言うと思った」という発言からもわかるように、それを前提とした提案（賭け）だったことから、これまで封印していた”結衣の恋愛感情”も解放されることになるわけです。
最初から三角関係を狙っていたかまではわかりませんが、結果的にその流れになろうとしていると考えます。

一方で雪乃は「私の気持ちを勝手に決めないで」と切り出し、八幡の”本物が欲しい”依頼が残されているという提起に加えて、自身も依頼をしたいと申し出ます。
雪乃にとっては恋愛に加えて家の問題もあるため、一番複雑な心境であることは間違いありません。
しかしここは雪乃にとっては大きな進展でしょう。自身の意思で動いた瞬間ですから。

雪乃の依頼というのは家のことか恋愛のこと、このいずれかと考えるのが妥当でしょうが、優先順位でいうと家のことかなと思います。

残念ながらここで２期は終わりますが、流れとしては続きが伺える展開でしたので、３期や映画に期待したいところです。
今後の奉仕部の運命としては、とりあえずは現状維持になりますが、然るべき時期がくれば続けられなくなるという流れになるのでしょうか。

個人的には八幡がどちらとも付き合わない、あるいは付き合えない状況になるという結末が良いように思えますが、今後の流れ（続き）があるならその展開を暖かく見守っていこうと思います。
{/netabare}

とにかく良いアニメです。