シャベール大佐 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
この物語のいちばん美味しい部分は1期で終わっていた気がします
落語家を主人公にした人間ドラマ作品の2期。
作品の作り方は1期と同様に丁寧だったと思いますが、物語としての面白さ、キャラクターの魅力などは前作に比べると、かなりパワーダウンしていたように感じました。
前作では、菊比古と助六という対照的な性格の若い落語家に、みよ吉という芸者を含めた3人の、観ていて何か悪い予感のする、危険なバランスの上に成り立っているような関係が描かれていて、彼らの行く末はどうなるんだろうという興味を持って観ることができました。さらに太平洋戦争の前後という時代設定もドラマ性を際立たせ、当時の日常描写や街の風景など、ストーリーと関係ない部分にも魅力を生んでいました。
一方、今作のメインキャラは与太郎、小夏、そして八代目八雲(菊比古)となっており、それぞれ悪いキャラではないと思いますが、はっきり言ってドラマが無いです。この「助六再び篇」では、3人とも(老境に入った八雲だけでなく、まだ若い与太郎と小夏でさえも)、その人生における最もドラマチックな激動の期間を終えてしまっていて、物語の登場人物としては、極端に言うならば余生のような部分という気がしました。舞台背景となる時代も、戦後数十年が経って現在に近くなっており、前作にあった情緒のようなものは薄れてしまいました。
声に関しては、どのキャラの演技も決して悪くなかったと思いますが、個人的には前作での山寺宏一と林原めぐみほどの強い印象は受けませんでした。
最後まで観終わって、個々の場面には見応えのある部分もあり、完成度が高かった1期の続編として誠実に作ってあったとは思いますが、この物語のいちばん美味しい部分はすでに1期で終わっていたようで、なんとなく、本編の後日談を1クールかけて見せられたかのような感覚は否めませんでした。