おぬごん さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ジャンルの飽和 ~計算で作られた日常作品~
原作はまんがタイムきらら系列連載の4コマ漫画
きらら作品お馴染みの女の子オンリーの日常モノで、占い師の街「迷路町」に集った占い師の卵「うらら」たちが描かれます
ストーリーは、山育ちで野生児の主人公・千矢が、幼いころ別れた顔も知らない母親を占いで探すために迷路町を訪れる…というものです
というわけで、きらら系日常作品でもやや変化球というか、凝った設定です
どのジャンルにしてもそうですが、そのジャンルが流行して作品が出揃ってくると、何らかの付加価値を付けることでオリジナリティを出そうとするものです
例えばジャンプのバトル漫画だと、「北斗の拳」や「ドラゴンボール」の頃は強い奴が強さのまま戦うだけでしたが、「ジョジョ」を機に能力バトルの時代になり、その後はサムライ、忍者、海賊、マフィア、ヒーローなどの+αが付加されるようになった、という感じです
この作品も占いに加え、占い師が集まる架空の和風の町を舞台にすることで、他のきらら作品と差別化を図ったようです
特に後者の町の設定は、ヨーロッパ風の町を舞台に非日常感を演出していた「ごちうさ」の影響を感じます(原作が実際に影響を受けたかどうかは分かりませんが、アニメ化の題材として選ばれた理由としては間違いなくあると思います)
さてきらら系日常作品のメインターゲットは男性だと思いますが、占いという題材、かなり男性ウケしないですよね
星占いやおみくじレベルならまだしも、占い師レベルの本格的な占いとなると、多くの人が胡散臭いオカルト、もしくは心理学や統計学の一種だと思っているのではないでしょうか
その点についてもこの作品では上手く料理していて、占いを潔く魔法・超能力の類にしてるんですよね
これなら逆に固いことは気にせず作品を楽しめますし、主人公・千矢が町を訪れる動機にも説得力が出ます
そして女の子たちには作者のフェチが存分に振りまかれ、また結構微エロも多くてみんな可愛かったです
女の子の服装が凝っているあたりにも、作者の愛とフェチを感じます
…とまあ、ここまで好意的にこの作品について分析してきましたが、これまでのきらら作品に感じたような多くの人が惹き付けられるような魅力を感じることはできませんでした
この作品、上で述べたようにかなり計算して他作品と差別化するよう作られているように思いますが、その分、作品への作者の熱量が薄まっていたような気がしてなりません
何でしょう、言うなれば養殖感が出ていたというか…
ある題材を扱った作品の場合、私はその作品から「作者の題材への愛」が感じられるかどうかを重視しています
スポーツモノにしてもお仕事モノにしても、これが感じられる作品は少なくとも見ていて楽しいんです
この作品からは女の子のお腹や服装への愛は感じられても、占い自体へのそれはイマイチ感じられませんでした
そのため、占いという題材や占い町という舞台装置が、女の子の可愛さで癒される上でのノイズになっていたように思います
また個人的な感覚ですが、野生児にはちょっと萌えられません…w
前クールの「ステラのまほう」の感想でも書きましたが、「ひだまりスケッチ」や「けいおん!」以後、毎クールのようにまんがタイムきらら系の作品がアニメ化されるようになったう一方で、最近のアニメ化作品にはパワー不足、行き詰まり感を感じます
できれば本当に魅力的な作品をアニメに送り出してほしいものですが、件の「けいおん!」がアニメ化で大化けしたことを考えると、とにかく鉄砲の弾を増やした方がいいという判断なんでしょうね
漫画原作が枯渇している現状と、潤沢な連載作品を抱えるきらら系列の思惑とがあるのでしょうが…