Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
オーディナルスケール…新たな概念は再び相対するための息吹き…
劇場版ソードアートオンライン…このレビューを書いている2017年3月25日時点において、爆発的な興行成績で躍進を続けるこの作品…私も先週末にようやく見に行く事ができました。
より作品を楽しみたかったので前情報は極力入れず、知っていたのは神田沙也加さんが演じるキャラがキーパーソンになるっぽい事くらい…満を持して視聴に臨みました。
キリトやアスナが生活する現実世界…これまでナーブギアやアミュスフィアを用いたフルダイブVRゲームを経てこの世界が選択したのはオーグマーと呼ばれる情報端末…
オーグマーにはフルダイブ機能が搭載されていませんが、AR(拡張現実)型といった覚醒状態の人間に視覚、聴覚、触覚などの情報を送り込める端末なんです。
現実世界を仮想空間に早変わりさせる事のできる夢の様な端末…絶大な人気を誇るのも納得です。
そしてオーグマーの絶大な人気を支えているのが「オーディナルスケール」というゲームです。
このゲームにはランキング制度が導入されており、ランキング上位者になると様々な恩恵があるとか…
でも、技術が大きく進歩する時…進歩させる人間の原動力って何なのでしょう…
純粋に技術だけを追い求める…もちろんそういう技術者の方もいらっしゃると思います。
だけど、本当にそれだけ…?
と改めて問い直すと、純粋な気持ち以外だけじゃないようにも思えて仕方ありません。
名誉や莫大な資産を手に入れたい…
どうしても願いを叶えたい…
こういう思いを持ったって少しも不思議ではありません。
踏み出した者だけが手にする事のできる権利なのですから…
こうして「オーディナルスケール」というゲームを軸に物語が動いていきます。
オーディナルスケール…「順序尺度」という意味との事です(統計学用語辞典より)。
この言葉で表現すると、個人をデータ扱いするようで個人的にはあまり好きではありませんが、数値の持つ意味には違いがあるそうです。
順序尺度における数値の意味は複数あるようですが、今回の場合は大小関係…つまり、ランキングの数値そのものに意味がある、という事になります。
これまでSAOでのゲームはレベル型、スキル制…つまりゲームに費やした分だけ全てのゲーマーが等しく強くなれるチャンスがありました。
でも1位には2人同時になれない様にランキング制度における順位は唯一無二の存在です。
このランキング制…ゲーマーの競争心を煽るには格好の材料だと思います。
きっと多くの欲求を同時に満たしてくれるモノだから…
それに例え敗れたとしてもアインクラッド編の様に現実の死を迎える訳ではないのですから…
だからオーグマーによって作られた仮想現実の世界は純粋に凄くて楽しそうだと思いました。
根底で蠢く闇を見るまで…でしたけれど。
人は欲深です…
だから欲しいモノには際限がありません。
でもそれと同じくらい…いいえ、それ以上に大切なのは手に入れたモノの一つ一つ…
普段は欲求の奥底に隠れているから手に入れたモノに対する思いはあまり感じられないかもしれません。
でも、もしそれを失ってしまったら…そう考えると居ても立っても居られないモノって誰もが持っていると思います。
言葉では言い表せないくらい大切で絶対に失いたくないモノ…
時間の経過が怖くて堪らないと本気で感じるくらい根幹を成すモノ…
そんな大切なモノのためにキリト達は本気で立ち向かうのです。
でも立場を変えて見てみると…これしか成し得る術がなかったんだと思います。
決して良し悪しの分別が付かない訳ではありません。
葛藤に次ぐ葛藤を繰り返した成れの果て…
きっと途中で何度も留まるきっかけはあったんだと思います。
それでも歩みを止められないのは突き動かす思いが強すぎるから…
大切なモノとランキング制度がもたらすこのゲームの行方は…?
きっと思いもよらない展開が待ち受けてくれていると思います。
円盤が出たらもう一度視聴したいと思える作品でした。
そんな風に思える一番の理由は、物語のテンポの良さと相まって主要キャラの登場バランスが絶妙だから…
現実世界が舞台と知って真っ先に心配したのはユイちゃんがどう絡むかでしたが大活躍で安心しました。
アスナのキリトを想う気持ちや仲間に対する思い…色々ありましたが筋の通った言動に益々彼女が大好きになりました。
シリカちゃん…キャラの持つ魅力と日高さんとの相性には、もうとろける事しかできませんでした。
リーファちゃんとシノンはもう少し出番が欲しかったかも…
そしてもう絶対逢えないと思っていた人がしっかりと支えてくれていたのも良かった…
それにアルヴヘイムやガンゲイルに登場した「どうしても好きになれない」的なキャラが居なかったのも個人的には良かったと思っています。
約2時間の作品でしたがあっという間の時間でした。
劇場版ならではの迫力と、それを下支えする作画・SEも申し分無しです。
そして最後のシーンもとても意味深…
次の情報が色々と待ち遠しい気持ちで一杯です。