カンタダ さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
序盤と終盤で評価が別れる作品
この作品は最序盤から視聴者をふるいにかけてくる。まずヒロインである逢坂大河の暴力的でだらしのない性格が、ヒロインとしての魅力を大きく損ねているために、これが受け入れられない人は早々に脱落するだろう。事実わたしもここで一度挫折している。
ストーリーの中盤はラブコメものとして楽しめるのだが、終盤に差し掛かるとだんだんシリアスな展開になってくる。ここで評価が人によって大きく別れることだろう。残念ながら個人的には楽しめるものではなかった。
その理由としてまず、主人公の高須竜児があまりにも鈍感であることが挙げられる。彼は彼を取り巻く三人のヒロインの心境の変化に、ほとんど反応していない。彼女らの竜児に対する想いや葛藤を最後までスルーしてしまっては、男としての資格を失いかねない。
具体的には川嶋亜美は最初から蚊帳の外で、最後まで完全にスルー、櫛枝実乃梨の葛藤にはほぼ関わらず、告白に対して最後まで態度を曖昧なままにし、彼女自身からの諦めで終わらせてしまっている。逢坂大河に対してはさすがにメインヒロインなだけに、最後は想いを受け止めてはいるが、それまでまるで気づいてもいない上に冬山では気づいてもなかったことにしてしまう体たらくである。
そもそもとして、実乃梨がどうして竜児を好きになったのかがよくわからない。そのあたりの描写が乏しく、そのため終盤で大河を巻き込んだ関係のこじれることの説得力が弱くなっている。大河もいつの間にか北村祐作に対する恋愛感情を失っており、そしていつの間にか竜児に対して恋心を抱いている。どうも予定調和で話が進んでしまい、細々とした心情の変化を御座なりにしている印象が拭えない。もっとキャラの心情を丁寧に扱うべきではなかったか。
最終盤には竜児と大河は結ばれるのだが、彼と彼女の仲を妨害するのが破綻した両家族だというのも興ざめである。原作者は自身の親になにかしら恨みでもあるのだろうか。それほどダメ親揃いで描写している。そもそも親を呼び捨て、名前で呼ぶのはいかがなものだろうか。仕舞いには親の頭を友達の頭で撫でるかのように撫でるのは、違和感を通り越して嫌悪感すら覚える。
以上の理由から個人的には良作とはいえない作品だったが、なんとか完走できたことを思えば佳作ではある。