「君の名は。(アニメ映画)」

総合得点
91.2
感想・評価
2514
棚に入れた
11510
ランキング
39
★★★★★ 4.1 (2514)
物語
4.1
作画
4.5
声優
3.9
音楽
4.2
キャラ
4.0

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ネタバレ

カンタダ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 1.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

題材を活かしきれていない

なぜ体が入れ替わったのか?なぜ彼が選ばれたのか?などの疑問は野暮だろう。そういうことなんだと理解すれば取り敢えず解決するのがアニメの長所であろう。

とはいえ、なぜ体が入れ替わった相手に恋愛感情を抱くのかの必然性が足らない。入れ替わっただけで相手を好きになれるものなのだろうか。二人がそこまでお互いの人生や生活に踏み込んでもいないうちから、恋愛感情を抱くのは無理があろう。同性同士が入れ替わったのとは訳が違う。異性同士であれば、むしろ、嫌悪感を抱いても不思議はない。

自分のプライベートに突然見知らぬ異性が入り込んできたのを想像してみればいい。男であれば歓迎するかもしれないが、女性にしてみれば自分の体を隅々まで検分されることを望む人はいないだろう。いや、いるかもしれないが、稀有な例ではないか。そんな男性と恋愛関係に発展できるだろうか。大きな疑問である。

そんな稀有な例が三葉なのだが、彼女は隕石落下で命を落とす運命にあった。が、瀧の活躍で彼女は死を免れるわけだが、死者の復活にはそれ相応に大きな代償が必要である。でなければ、人の命の軽く見ている。失われた生命は二度と戻らないがゆえに、一度きりの生命に重大な意味を与えることができる。

しかしこの作品ではそのことに関して、監督はなおざりにしている印象がどうしても否めない。それは隕石落下のために消えた三葉の故郷にも同じことが言える。
田舎暮らしに辟易していたとはいえ、仮にも自分の生まれ育った故郷をあっさり捨てて都会に出てきている。それは三葉に限らず彼女の友人たちも同様である。

これは一種の自然災害であり、地震や津波と同質のものだ。登場人物たちには、いや、監督には「復興」という考えがまるでないようだ。映画の放映は2016年、東日本大震災から5年であるが、まだまだ「復興」への道半ばである。しかし、そこにまったく触れないのはどうなのか。一人くらい踏みとどまって頑張る姿を描いても良かったのではないか。

アニメ映画にそこまで求めるのは筋違いなのかもしれないが、そうであるなら初めから自然災害を扱うべきではないし、気軽に扱って良い題材でもないはずである。

そこまで考えてないのであれば、それはそれでよい。単純な娯楽として片付けてしまうだけの話だが、作品自体は軽いものになる。選んだ題材が大きすぎて、それを力不足の監督が持て余した作品というのが感想である。

投稿 : 2017/03/25
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