「遊☆戯☆王 ARC-V(アーク・ファイブ)(TVアニメ動画)」

総合得点
54.2
感想・評価
71
棚に入れた
243
ランキング
7702
★★★★☆ 3.2 (71)
物語
2.7
作画
3.3
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
2.9

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 1.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

視聴者を笑顔にするエンタメで大事なのは、最低限のお約束尊重する事。(努めて好意的にレビュー)

カードゲームアニメの代表格・遊戯王シリーズの第5作目、全148話。
1996年から週刊少年ジャンプで連載され、カードゲーム「デュエルモンスターズ」でカードゲーム人気の立て役者となった「遊☆戯☆王」を原作に、コナミが独自展開でカードやルール増やしまくる一方で、促販アニメのシリーズも長い伝統を築いていった。

登場人物たちがカードゲームでバトルする、本作はシリーズ踏襲しつつ、「エンタメで笑顔にする」など独自路線だったり、過去作のゲストキャラ達が活躍したりと面白味は十分…
と期待されてましたが、残念ながら、シリーズ最低と悪名高い。
駄作極まりない事は、擁護のしようが無いです。
…でも。面白かった面や楽しませてくれた要素も多々あり(不満たらたらながら)3年間、嫌いにはなりきれなかったです。

駄作なのは自明なので、強いて良かった点もレビューしたいと思います。

{netabare}『物語』
主人公・榊遊矢が、尊敬する父・榊遊勝の「デュエル(カードゲームの事)でみんなを笑顔にする、エンタメデュエル」の志を受け継ぎ、「遊勝塾」の仲間たちと共にデュエル大会に出場し、成長していく。
序盤の「スタンダード次元編」は、王道なカードゲーム版スポーツ物的な面白味があって良かったです。

…私の遊戯王知識は、原作漫画をリアルタイムで熱心に読んでいた他は、原始的なアドバンス召喚(場に出したモンスターを生贄にして上位のモンスター召喚する戦術)辺りで止まっていて、以降はアニメで何とな~く(シンクロ召喚?なんか知らんけどカッコイイ!)程度の認識、本作のキーとなる「エクシーズ召喚」の仕組みもイマイチ理解しきれて無かったり…
それでも、ノリと勢いで楽しめればおK!(適当)
本作の主人公の花形戦術であるエクシーズ召喚、そして「デュエルでみんなを笑顔にする」エンタメデュエルの醍醐味は、トーナメント方式の大会で存分に発揮されていた。

本作の醍醐味にして批判点「アクションデュエル」(自分のデッキ外の、フールドに置いてあるカード拾って使う)の構想は悪くなく、トリッキーかつ意外性のあるデュエルを見せてくれた…
ものの、遊矢だけがピンチに都合よく拾うご都合感から、次第に白ける展開が増えてくる。

…本作の泣き所である「個別のデュエルが殆どつまらない」(カードゲームアニメとしては致命的)なんですが、序盤の大会は結構好勝負が多かった。
遊矢VS方中ミエル(ほうちゅんミエル)のエンタメ対占いデュエルなど、内容も、ミエルちゃんのキャラも良い。
年少組のデュエルは微笑ましかったり(アユちゃんに対し)「かわいいから大丈夫だ!」
…極めつけは勝鬨勇雄(かちどきいさお)戦での勝鬨の迷セリフ「何?レベルを持たないならレベルゼロではないのか!?」
遊戯王特有の複雑怪奇なルールのセルフツッコミ、遊戯王ファンは苦笑しつつも、大いに喝采を送ったのだった…。
この勝鬨戦、カードゲームなのに物理的ラフプレイで苦しめるとか、早くも本作の拙い要素出てしまっているものの、この時点では少年漫画の王道的な悪い敵に立ち向かう展開で、まだ良かった。


大会の途中から、実は別次元からの侵略を受けているから立ち向かえ!
と話が動き出し(お、どうなるんだ!?)と興味深く、新たなるランサーズの仲間たちと共に「シンクロ次元」編に移行。
展開が混沌としてくるものの、先が読めないハラハラ感、格差社会ディストピアな世界観など、結構楽しみでした。
…肝心要のデュエルは、「乱入」多用による雑さで興醒め多かったり、本作最大の欠点「カードゲームの勝敗が、事態進展に無関係」だったり、雲行きが怪しくなってくる。
まあ、雑魚をド派手に1ターンキルする展開も、1度2度くらいなら良かったんですが。

シンクロ次元編で面白かったところ
トップス(支配階級)の治安組織(軍部)と行政評議会の、指導部同士の駆け引き、海千山千な老議員たち、議長の取り巻きが毎回「ですな議長?」なお約束。
ロジェ長官の曲者感。
…デュエルでは、エンジョイ長次郎の花札デッキとの対決が本作のベストバウトだった。
花札をモチーフにした展開、小粋な口上など、主人公よりよっぽどエンタメデュエルしていた。
ミエルちゃんといい、キャラに即したテーマデッキで活き活きとデュエルしてくれる事が、一番のエンタメになる。
鉄壁のコンボを、どう破る!?と、初期遊戯王以来の王道にも則っていて、こういうデュエルをコンスタントに見せてくれれば評価は上がっていたのでは。
哀しき強化人間。セルゲイのデュエルも(変態的ながら)面白かった。


残念ながら本作が(かろうじて)良かったのはここまで。
以降は迷走に迷走を重ね、殆ど見所が無い。
ラストバトルは、遊戯王というカードゲーム全否定。
唯一、終盤手前の遊矢VSデニス戦がかなり良かったのが最後の花か。

キャラクターの扱いが雑で、活躍が期待されるキャラ達がデュエルすらさせてもらえず退場していく…
ヒロインズ(柚子と分身たち)が、柚子以外は消された、脚本に殺されたようなものなのも本当に酷い。
セレナ好きだったのに…。
本人たちのドラマを経て納得しているならともかく、これじゃあ後味が悪すぎてハッピーエンドとは思えない。

総じて、良かった面も結構あるものの、あまりにも欠点が多過ぎる。
非難轟々大炎上は当然の評価でしょう。
良かった点はキャラ豊富で、個々の活躍や掛け合いで雰囲気が賑やか、展開が混沌としており、面白い回は面白い。
シンクロ次元編終盤までは面白かったし、全般に本作の雰囲気は好きでした。
…どのジャンルにせよ、最低限の王道お約束を蔑ろにしてはならない事がよく分かる。
本シリーズにおいてそれは「デュエルが面白い事」と「面白いデュエルを通してキャラが良い事」
ちゃんと出来ている良回もちらほらあるだけに、惜しいです。


『作画』
キャラデザは好み、柚子やセレナもシリーズヒロイン中でもかなり好みです。
オッドアイズなどのモンスターのカッコ良さ、シンクロ編のライディングデュエルの疾走感なども中々。

『声優』
柚子&レイラの稲村優奈さん、権現坂の大林洋平さんなど、出演の少ない声優陣が軒並みベストマッチ。
矢野奨吾さんは俳優ながら、沢渡のイメージばっちり。

『音楽』
4番目のOP「切り札」が良かった。
全般的に雰囲気が明るい感じは良い。


『キャラ』
主人公・榊遊矢が成長しそうでいて中々成長できない以外は、面白味のあるキャラの層は厚い。
キャラ個別の見せ場がある回はそれなりに盛り上がる事多かったです。
記憶に残る名キャラクター多数。それだけに最終的にキャラを大事にしない脚本は残念。

男気溢れる権現坂、お調子者だが憎めない沢渡、孤高でシリアスだが存在感だけで視聴者の笑いを取る黒咲、頼れるニンジャ月影、外道と思いきや真のエンタメを見せたデニス、狂気を孕むショタだけど友情を発揮した素良などなど…
個々のキャラの動向を見ているだけでも面白いのは本作の強みだった。
ヒロインの柚子も、守られるだけではなく自ら立ち向かう強いヒロインで可愛い。
遊矢が不甲斐ないのもあるけれど…。
ポンコツっぷりが可愛いセレナも中々。

前シリーズのキャラはイマイチ生かせず、本作の批判点になってしまっている。{/netabare}

投稿 : 2017/07/17
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サンキュー:

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