岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
原作に忠実であることは是か非か
放送分まで原作既読。人気漫画家・羽海野チカさんによる漫画が原作。本作のアニメ化にあたり原作者側から、アニメ化するならシャフトで、という強い要望があったうえでの実現とのこと。
今回は物語自体のレビューは省略という形で。
2クール視聴して全体の印象は、「原作にあまりにも忠実すぎて面白くない」。面白くないというのは原作自体の面白さを否定するものではなく、それをせっかくアニメにしたというのに映像的な面白味に欠けるということ。
例えば、アニメ各回のタイトルは原作各回タイトルからそのまま引用、セリフも原作のほぼ全て(原作のどれだけ小さな文字も)音声におこす。当然物語も原作にほぼ忠実に描いている。そのため物語のテンポも非常に遅い。
例外としてはニャー将棋と最終回後半のオリジナル的な演出があった程度。全体を通して、水の映像表現(河の流れやペットボトルの水に至るまで)にはこだわりを感じる。またシャフト特有の速いカットまわしなど独特の演出は見られたが、作品との兼ね合いもあってか他作品と比べると色は薄い。
とはいえ本作ではそのようなマイルドな演出の方があっていたとは思うので、このあたりは判断が難しい。
とはいえアニメ版の総評として、基本的なストーリー構成やセリフ・キャラクターがあまりにも原作に忠実でありすぎた。アニメとして自由に動かせる要素が少なすぎて、作品が若干窮屈な印象を受けた。ただ例えば作中の年越しや最終話の放送を、現実世界のその時々の時期と綺麗に合わせていたのは素晴らしかった。このあたりが原作に忠実であることは是か非か、という難しい問題だと思う。
総評として本作は製作者側の原作へのリスペクトの結果というよりも、製作者側が原作者側に気を遣いすぎてしまった印象を受けた。原作をあまりいじらないほうがいいと無難に作ってしまった感が強かった。(NHKでの放送という兼ね合いもあるかもだが)
全体的なクオリティーは決して低くはないのだが、原作既読者からするとアニメとしては、あまり真新しさはなかったなというのが率直な感想。