きつねりす さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
こういう作品は増えていってほしい。
EDMを牽引する若い才能、ポーター・ロビンソンとマデオン、そしてそのアニメ好きの二人がプロデュースしたこのアニメーション。音楽を軸にして作りだされた世界観が儚くて美しい、そんなショートアニメです。
最近はアイドルアニメや音楽アニメなどで映像と音楽を組み合わせたクオリティの高い作品が多く生まれています。ただ、こういった映像を見る人はそのアニメを見ている人、もしくはアニメの流行に敏感な人が主で大衆の目に触れる機会はよほどのヒットがない限りありません。
アニソンだから聞かない、映像がアニメっぽいから見てると恥ずかしい、といったところで知られていない名曲というのはたくさんあると思います。実にもったいないです。最近はアニソンというカテゴリも市民権を得つつありますが、それでも肩身が狭い、メディアに取り上げられないという現実も存在していると思います。
この作品の素晴らしい所は、いわゆる「綺麗なだけ、可愛いだけ」に留まらない映像です。キャラが出てきてよく動くからいい、というのではありません。セリフがない中で、「この世界はどんな世界なんだろう」と見ている人に考えさせる引き付け方が上手いです。それに加えて寄り添うように流れる音楽。一発で理解するのは少し難しいかもしれませんが、深みのある作品だと思います。
音楽と映像と言えば、ミュージシャンのPVなどとしてもこの組み合わせが使われますが、やはりそれもプロモーションと名が付くだけあって演奏している映像とか歌っているシーンとかがメインに作られています。そういったシーンを使うためPV全体的に実写が多いというのも頷けます。
ただ、こういった実写が多い中で一流の音楽家と第一線を走るアニメーション会社が共作で作り上げたこの映像というのは大きな価値があると思います。音楽好きだけどアニメはあんまり見ないなという人、そしてアニメはよく見るけどいろんな曲を聞かないなという人。それぞれを繋ぎ合わせる懸け橋となるようなこの作品。きっと有名な国内のミュージシャンがこういった作品を作った暁には話題をさらうこと間違いなしだと思うのですが・・・今後に期待したいと思います。