退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「諸君、我々の任務は何だ? 殲滅だ!一匹残らずの殲滅だ! 成すべきことは唯一つ 地獄をつくれ!!」
原作未読です。
先見の明の無い編集者に後押しされず淘汰された「品川KID」さんのマンガ『DOUBT!!(ダウト)』(みんな知らないだろーなぁ・・・結構、設定似てるんですよネ)と、
気持ちがいいくらいご都合主義のシュミレーション戦記『紺碧の艦隊』が見事に混ざりあったような印象を受けました。
原作ファンからは内容が端折りすぎと非難も受けてるようですが、見ていてそんなに違和感ないと思います(やや、ダイジェスト編集っぽいところもありますが)。
{netabare}
第一話は顔見世。「終末のイゼッタ」に続き、またしても欧州架空戦線。湯水の如く砲弾を撃ちまくった結果、森林が見事に無くなり、身を隠すことが出来ないほどの荒野に塹壕を掘り、頭を出せば即狙撃される戦場で進まず引かずの膠着状態の[第一次世界対戦]のような世界観。
(最近の若い人は歴史に疎いのか「第一次」と「第二次」の区別がつかない方もいらしゃるようで)
現実の史実では、毒ガス兵器が初めて使われ、戦車も初めて実戦投入(でも、作品世界では出ないみたい)。
翼が布張りの「飛行機が」兵器として登場したのに対し、作品世界では魔法科学が進んでるようで人間が魔道器(箱型を股間にぶら下げる)を使って空を飛びまわっていますね。(国によって魔導器は様々。木馬型やスキー板型だったり。飛行機自体無いわけではないようですが)
舞台は史実と合わせたようなライン戦線。
空中滑空シーンは切れがあってイイですね。主人公サイドの国は統一されたプロイセン王国(ドイツ)のような『帝国』。ターニャ・フォン・デグレチャフ率いる魔導士の小隊。航空魔導士の仕事は、主に
・戦況観測、偵察。
・砲弾砲撃の着弾観測及び照準修正指示。
・敵航空魔導士との接敵殲滅。
・ささやかな(極ささやかな)対地支援。
のようです。戦況は四方を列強に囲まれてかなり厳しいようです。
ターニャ・デグレチャフ。幼ない少女でありながら堂々とした指揮官ぶり。戦闘スペックは高そうだが逆らう部下には容赦ナシ。しかもやたら弁がたつ。いったい何者?
第弐話でタネ明かし。
2013年・東京。とある一流そうな企業で働く管理職の冷徹サラリーマン(男性・名は不明)。
会社というルールの中で安定(安心)したポジションを望む上昇思考者。その為の努力や苦労・勤勉を惜しみなくつくしたせいで、すごい『インテリな人間』が出来てしまったようで。
合理主義で能力主義の無神論者。(愛や友情・信頼などは「結果」を生み出す「手段」の一つとしか考えてないような感じがします)
上司には従順(かといって太鼓持ちではなく自分の優秀さをアピールするタイプ)で
部下には厳しく、言い訳や逆らう者を嫌い、特に会社の利益を上げない『無能』と判断した者には容赦なくリストラ勧告!
その逆恨みを買い、通勤途中の駅のホーム前列で列車を待っていたら、リストラした同僚に突き飛ばされ、ホームに入った列車にはねられ・・・る寸前、周りの時間が全て止まり(ザ・ワールド!)
転生の神様が語りかけてきて、その男のあまりにも信仰(神を敬う・奢らない・他人をいたわる)の無さや人間らしさが欠如していることにあきれかえっったと言う。
しかし、その男は意思のある人ならざる力は認めたものの決して『神』とは認めず(以降、仮称として『存在X』と呼称)神を信仰するのは弱者で愚かな者だけだと言い返す。
ならば弱き者・小さき者になってやり直し悔い改めよと存在Xは言い、時間が進んでその男は列車に轢かれ死亡。
(ちなみにホームの看板に「オーバーロード劇場公開」告知が)
気が付くと、
・生後間もない赤ん坊(女の子)で孤児「ターニャ・デグレチャフ」として転生。
・しかしメタ情報(前世の記憶)がそのまま有り2度目の人生を送ることになる。
・孤児院(修道院)は常に貧しく子供といえど働かなければならいほど国力は貧困。
・転生した世界は元いた世界と似て異なる100年程過去の欧州ドイツのようなところ。(時に統一歴1913年)
・交通運輸手段の技術は内燃機関による乗物「自動車」があまり実用化されておらず蒸気機関の「汽車」や馬車による「荷車」が主流みたいです。(船は石炭による蒸気機関かな?)
・飛行機はあっても空輸出来る程の航空技術にはなっていない。
・世界情勢は戦争突入の気運が高まっている。(と、いうような状態を10年程の成長で見ることに)
・こちらの世界では魔導科学が初期実用化されている。ターニャは孤児院の適正検査で特Aクラスの結果が。
・戦争で人を殺したり殺されるのも嫌だが軍人の上級士官(キャリア)になり後方で自適生活を想いつたターニャは軍人に志願することに。(存在Xに対しての当てつけとして)
しかし、奮闘しつつも「存在X」の手の上で踊らされているような展開が次々と・・・
・持ち前の知識・処世術・持って生まれた才能(魔力)により教練1年足らずで教練教官に任命(初出世?)
統一歴1923年
・初戦は偵察・観測で楽勝と思いきや敵・協商連合(スウェーデン・ノルウェーっぽい国)の航空魔導士と会敵。援軍の到着時間は600(10分程?遅い!)。覚悟を決めたターニャは高笑い。思惑として、
①(不可能だろうが)一人で敵を殲滅すればさらに高評価で出世。
②数の上で敵わないのであれば敵を道連れに自爆(死にたくないので当然、魔導防壁を自分の周りに展開。しかし無傷とはいかず、ある程度負傷して「傷痍軍人」になれば念願の後方勤務)
結果②の案になり、負傷はしたが五体満足の体。おまけに「銀翼突撃章」の武勲を受けてさらなる前線に送られそうな空気に・・・
・傷の癒えたターニャは教導隊部門の一つ兵站部(技術開発)に出向。新型演算宝珠(魔道器)のテストパイロット(?)に。後方部隊と喜んではいたもののシューゲル博士の開発したエレニウム九五式はかなり不安定な代物。
実験に次ぐ実験。そして不安定による暴走で空中爆発の連続。シューゲル博士も頑固ジジイでターニャの意見を聞こうともしない(まだ前線の方がマシ?)
ある日のテスト飛行中またもや爆発しそうになり、しかも安全装置も働かない。そして10年程ぶりに「存在X」が現出。ターニャは無意識に神を讃えると宝珠が安定し今までに無い性能を発揮。
こうしてエレニウム九五式は、いちいち「神を讃えないとマトモに起動しない」ターニャにとって嫌味な魔道器として誕生した。
そして1話のライン戦線に戻り時系列が進行(統一歴1924年)。昇進と共に帝都の「軍大学」通うことになったターニャ。
・悠々自適なキャンパスライフを満喫中のターニャ。末はキャリアコースで上級士官になり後方勤務を夢見てたところ、かねてからターニャの戦績に興味のあった参謀本部の佐藤さん・・・じゃなくてゼートゥーア准将に呼ばれ戦局の意見を求めたところ、
ターニャもここぞとばかりに上層部にパイプ作りをしたいが為、好印象を出そうとお利口な意見(本戦は世界大戦に発展する。航空魔道師は大隊規模で作戦運用した方が効果有り・・等)を具申したところ大学卒業後は「航空魔導大隊」の設立編成と隊長を任されることに。(カッコよく言った意見が裏目に。これでは又、前線行きか?)
・なるべく戦場には出たくないターニャ。設立編成を遅らそうと、
①厳しすぎる選抜査定。→しかしライン戦線以来の部下ヴィーシャも直属の補佐になったり、基準査定を下げるように佐藤さん・・・じゃなくゼートゥーア閣下に諫められたりして、とりあえず人員が揃うことに。
②地獄のような訓練で根をあげさせようとする。→逆に脱落すると本当に殺されかねないと畏怖され、訓練に耐える候補生たち。
こうしてターニャの望まなかった鋼の精神に鍛えられた「第二〇三航空魔導大隊」が誕生。
レガドニア協商連合(スウェーデン・ノルウェーっぽい国)・フランソワ共和国(フランスっぽい国)・ダキア大公国(ルーマニアっぽい国)・ルーシー連邦(ソ連=現:ロシアっぽい国)に囲まれた帝国。
人事評価を気にしながらもターニャは生き残ることができるのか?凡庸だが忠実なヴィーシャはターニャに(振り回されて)ついていけるのか?
まだ参戦していないアルビオン連合王国(イギリスっぽい国)・合州国(アメリカっぽい国)・イルドア王国(イタリアっぽい国)も、どう動くのか?
1クールじゃ収まりきらなさそうなので2期に続くような気がします。{/netabare}
{netabare}
ところで皆さんは「存在X」は公明正大な「神様」に思えるでしょうか?
私はターニャを嗾けて大量殺人を見て楽しんでるように思えるのですが・・・{/netabare}
視聴終わって・・・そして、戦いは続くよどこまでも。{netabare}
世界観の背景や風景美術、「戦争」という題材なので空までも暗い雰囲気ですが丁寧に描かれていていてストーリーに重みがあったと感じます。
最期の山場「衝撃と畏怖作戦」及び「解錠作戦」で共和国に勝利した帝国。
帝国の技術も現実の史実より30年ばかり進んでますね。さすが別世界!(V2ロケットが出たり「砲塔」付きの戦車による機械化部隊が出たり。どちらも動力は魔法技術?)
部下たちの死で恩讐に取りつかれたアンソン大佐。連合王国に義勇兵として参加してまで「ラインの悪魔(ターニャ)」に一矢報いようと自爆まで試みるも無駄に終わりましたが(トレンチガン=散弾銃まで使って頑張ったんだけどね)、娘のメアリーが後に合衆国義勇兵として参加することに(怨嗟は続くよ、どこまでも・・・)
流石のターニャも勝利に沸き立つ場の雰囲気でうっかり忘れていたことが。本編でもそれらしいニュアンスの場面があった通り「敗残者の抵抗」。
先の戦闘で帝国と対峙する「戦力」を無くした共和国。首都が陥落しても共和国軍総司令部は海を渡って逃げ切ることに。
追撃殲滅をターニャが申請するも却下。独断専攻しようとしたが参謀本部の「停戦」命令により断念。
前世で自分に恨みをもたれた人間に報復されて死んでしまった苦い経験があるだけに悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて・・・。
本当の「勝利・平和(そんなもの無いのかもしれませんが)」を得るためには、後顧の憂いを無くすために歯向かう相手とその取り巻く環境(友人・知人・血縁者・国家・専属組織etc)全てを抹殺しなければならないのかもしれません。そんなこと出来ないから混沌は続くのでしょうが。
そんな殺伐としたなかで二〇三航空魔導大隊の主だった面々のやりとりには、和やかにさせられました。(特に放映後に配信される「ようじょしぇんき」には)
ごはん(マズくても)大好き、ギャンブル強くておっとりマイペースだがしっかりついてきているヴィーシャ。生真面目、堅物のヴァイス中尉。「顔が細い」ケーニッヒ。「顔が丸い」ノイマン。若造新兵らしく愚痴が多いグランンツ。
戦場でターニャが目の前でヤラレそうになる部下を身を呈して庇うのは、人としての感情より「使える部下」を失いたくない思いからなのかもしれませんが・・・
ひと時の勝利でも戦局がさらに悪くなり全世界の「敵」になってしまった「帝国」。
南方大陸チュルス軍港(チュニスっぽいところ)で反撃宣誓する「共和国軍」。「連合王国」も海を渡り、「連邦」は雪原を通る列車に巨大な「列車砲」を積んでなにやら進軍準備?そして「合州国」も参戦。
当分先なのでしょうが2期続投して欲しいですね。{/netabare}
「私は今ここに改めて宣言する。 ああ、神よ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴様を切り刻んで豚の餌にでもしてやるとっ!! クソったれの神に我らが戦場は不似合いだ。今こそ神の仕事を肩代わりしてやろうではないか。我等将兵のあるうちは我々が神にとって替わるのだ。傲慢な神とやらを失業させてやれっ!!」