「幼女戦記(TVアニメ動画)」

総合得点
93.9
感想・評価
2197
棚に入れた
10577
ランキング
10
★★★★☆ 3.9 (2197)
物語
3.9
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

生ハムメロンというか、マグロ納豆というか(良い意味で)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
わりとしっかりした作りの戦争モノ。近代戦争の中に魔法部隊が組織され、そのリーダーが幼女でしかもダーティーだったら? というもの。

なんかこう、難しく考え出すと色んなことが見えてくるし、そうでなく、単にエンタメとして見るだけでも充分に楽しめる、そんな作品でした。

戦場を駆ける最強の魔法部隊に燃えるも良し、幼女のデグレチャフに萌えるも良し、(Cパートを中心に)意外とギャグも冴えているし、見所の多いアニメです。

ちなみに、レビュータイトルですが、幼女×戦争×サラリーマンのオッサン という、食い合わせの悪そうな要素も、食べてみたら意外と旨かったというか、タイトルで敬遠せず、観てみたら意外と面白いアニメということです(笑)

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
この作品で特徴的な設定は、「現代(21世紀)のオッサンの魂(記憶や人格)が、近代(20世紀)を生きる幼女に入り込み、戦争に参加する」というものです。

戦争(メインストーリー)に関しては、第一次世界大戦と第二次世界大戦におけるドイツの動きを混ぜ合わせたようなもので、そこの所は歴史や戦史にお詳しい方にお任せしたいと思います。

私が興味深かったのは、つまり「現代の思考回路や経験が、近代に生きている=人類は大きく進歩していない(人類の普遍且つ不変の愚かさ)」という構図になっていることです。これは、2話目で「合理的で的確な判断(リストラの宣告)をした結果、恨まれて殺される」ことと、最終話で「合理的で的確な判断(敗残兵の見逃し)をした結果、共和国が復讐心から戦争を継続してきた」ことが、見事にマッチしていることからも分かります(この展開、上手かったです)。

それはまた、「出る杭は打たれる」現代の日本の社会を表しているようであり(強大すぎる帝国に、他の国々が潜在的な恐怖を感じる様)、さらには、「他国への政治介入から始まったテロの連鎖」に代表される、現代の世界情勢を表しているようでもあります(怨みが怨みを呼び、もはや終着点が分からない戦争)。

また、神様を「存在X」として、徹底抗戦しているのも設定としては面白いです。が、こちらの設定には多少違和感を感じました。

「神様を敬わない不信心な現代の日本人に、神の威光を知らしめるために、劣悪な環境(戦場)に送り込み、神にひざまずかせよう」という、神の考えは、(神様なのにちっせーなぁ)とは思いつつも、一応理解できます。ただ、にしては生ぬるいというか、デグレチャフが天才並みの魔法力をもって生まれたり、神に祈りの言葉を捧げるだけで超常的な力を使えるなど、「試練を与えてるわりに、サービス良すぎ」だと思いました。デグレチャフを懲らしめたいなら、無能力にするか、敵にバンバン神の力を与えれば良さそうなものだけれども(アンソン・スー大佐的な存在を大量に生み出す的な。全知全能に出来ないことないだろうし)。

神様(存在X)が何がしたくて、何が出来るのかが不透明で、単に「神様に逆らってるデグレチャフ、カッケー」と視聴者に思わせたい程度のことなのかなと、勘繰ってしまいます。

もっとも、神様なんて、いるかいないかよく分からないものの精神構造や倫理観、思考経路が、私のような小市民と共通しているかは不明ですがw

最後に、この作品を予言していたかのような、ある方にレビューを書いて頂きましょうw 「 」内は全て、「銀河英雄伝説」の「ヤン・ウェンリー」の言葉です。

①「軍事力は民主政治を産み落としながら、その功績を誇ることは許されない。それは不公正なことではない。なぜなら民主主義とは力を持ったものの自制にこそ神髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。」

→その自制ができなかったから、今の帝国の「四面楚歌」の状態が出来てるんだよね!

②「それは正論だ。だが、正しい認識から正しい行動が生み落とされるとはかぎらないからね。」

→人間、論理的に見えても、結局最後は、感情や好き嫌いで動くことなんて、ざらにあるよね! そこも計算に入れないから、デグレチャフがキレたんだよ!

③「私は少しだけ歴史を学んだ。それで知ったんだが、人類の社会には思想の潮流の2つあるんだ。人の命以上の価値がある説と、命に勝るものはないという説とだ。人は戦いを始める時、前者を口実にし、止める時、後者を理由にする。それを何百年何千年と続けてきた」

→それが今回は、「復讐」や「怒り」、「国家の尊厳」、「資源」だったりする。そしてきっと、たくさんの人間が死に過ぎてはじめて、この戦争も終わるんだね!

④「ノアの洪水の伝説を知っているだろう? あのときノア一族以外の人類を抹殺したのは悪魔ではなく神だ。これに限らず、一神教の神話伝説は、悪魔でなく神こそが、恐怖と暴力によって人類を支配しようとする事実を証明しているといってもいいほどさ。」

→最終話Cパート、デグレチャフの檄なんか、もうこのまんまだよね! その点だけでは、ヤンと気が合うかもね!
{/netabare}

【余談(下品すぎたタイトル没案)】
{netabare}
「ウ○コ味のカレーとカレー味のウン○、どちらがお好き?」

意味→オッサンの容姿で中身が幼女と、幼女の容姿で中身がオッサンなのは、どちらがお好き?

→と、書いたら、「性格が幼女のおっさんの、どこに需要が?(笑)」という的確なツッコミを頂き、確かにと納得しましたw

没理由→レビュータイトルにするにはあまりに下品で、気分を害する方もいらっしゃるかな、とw
{/netabare}

【各話感想】
{netabare}
1話目
作画はかなり綺麗。今のところ戦術的要素も戦略的要素も少ない。主人公最強系? ダークヒーローですね。

2話目
違うアニメ観たのかと思い、確認してしまったではないか(笑) なんだ、rewrite2期といい、流行りなのか?(笑) これは、設定の妙ですね。唯一無二の作品になりそうです♪

3話目
ある意味で、ReLIFEだなw ギャグ要素もあるのですねw

4話目
う~ん、面白い。戦略的討論を、プレゼンと言い切るあたりが。

5話目
デグレチャフが、基本的に楽に生きたいと最善を尽くしているつもりが、どんどん裏目っていく様子は面白い。

6話目
なんかこう、何にも考えずに楽しめるというアニメも久しぶりだな。神VS人間 という構造が明確化してきたな。

6.5話目
ただの総集編。作画良いから総集編挟むのは許すけど、オマケくらいつけるのが、人の道。

7話目
ふむ、蹂躙って感じで、マンネリ化はしてきた。

8話目
戦闘作画、かなり気合い入っていたな。シリアスな回だった。

9話目
戦略的にも戦術的にも、なかなか楽しめる内容だった。

10話目
戦術的な戦いは観ていて楽しい。デグレチャフの檄はいちいち熱くなる。初の戦死者ですね。

11話目
回のはじめから、バトルシーンが続きますが、これが熱い。あ、戦死者は出さずにいくんですね。デグレチャフの「終戦を願う気持ち」自体はアニメの主人公らしいけど、それがある意味で利己的な理由に終始しているというのが、逆に良い♪

12話目
ここで、「感情(怨み)が理屈を超える」という視点で、2話のサラリーマンのくだりが生きてくるのは、上手いですね。
{/netabare}

投稿 : 2020/07/20
閲覧 : 488
サンキュー:

74

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