岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
2010年台アニメを代表する名作
原作未読。劇場版公開ということで視聴。
まず1話を見てこれは面白い!と期待。実際に自分がゲームに参加しているかのような魅力的な設定と、独特の没入感。オンラインゲームは未経験なので詳しくありませんが、設定にそういうゲーム要素や現実から一歩届きそうな未来の先端技術を使うのは新鮮でいい着眼点だな、と。
原作は未読なので分かりませんが、かなり早い時期から作者はこうした発想で作品を描いていたというのは、かなり先見の明のある方なのかと思います。その発想をアニメーションとして最大限表現した姿勢も素晴らしい。
その後回が進んでも作画も安定、特に戦闘シーンの動き方は尋常ではない。剣での戦闘というのがまた王道ながらかっこいい。なるほど評価が高いのも頷ける。
しかし割と早い段階から、物語の時系列や人間描写にわかりにくさや違和感を感じてしまった。最初は単に自分がオンラインゲームの経験がないため、作中のプレイヤー特有の心理が理解できていないのではと思っていたのですが。しかしどうやらそれを差し引いても、原作未読者にはキャラクターの思考をなかなか追いにくい回もあった気が。他のレビューにもありましたが、本作は設定とアクションで押していくスタイルなのだと確信。とはいえキャラクター心理面の描写の欠如は残念な点でした。
それに関連してストーリー構成。個人的に2クールに渡ってソードアート・オンラインをクリアする過程を丁寧に描くのかと思いきや、1クール目で唐突にゲームをクリアしてしまう。そして2クール目は全く新しいゲームに参加することになった構成に正直驚きました(これは原作の影響も当然あるが)。
2クール目は現実とゲームが入り混じる中で、主人公と血の繋がらない妹との関係生が作品の幹で、物語的な魅力はありました。ただソードアート・オンラインのような命のやり取りがない分、緊張感に欠けるというかゲーム設定も大きく変わったので最後まで馴染めませんでした。ただ黒幕役の子安さんのお芝居は本当にいい意味で素晴らしかった。
個人的にはソードアートオンライン編だけに特化して、主人公とヒロイン・仲間たちの関係性を丁寧に紡いでいく流れの方が好みだったかな。命を懸けたゲームというのがこの作品の最大の売りかと思うので。ただこの辺りはアニメーションだけの問題ではないので難しいですね。
まとめですが、全体的なアニメーションとしてのクオリティーは非常に高い。特に物語の舞台設定・戦闘シーンは非常に素晴らしい。あとはキャラクターの心理描写と物語構成が加われば完璧というところ。
色々と求めすぎかもしれませんが、純粋に素晴らしい作品だと思います。それだけにこことあそこも加われば・・・という思いが非常に強いです。逆に言えばそれだけ夢中になれた作品だともいえるので、個人的には2010年代アニメを代表する名作だと思います。