退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 1.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これはSAO版アベンジャーズだ!!
ソードアートオンライン・ファンなら必見の一作だろう。
{netabare} あのキャラクター達が帰って来て一同に会し、更なる強敵に向かって共闘するのだ。
これはオールスターゲームでもあり、SAO版アベンジャーズなのである。
これでテンションが上がらないわけがない。
私などは戦闘で梶浦サウンドがかかるだけで涙腺が緩んでしまう程だった。
しかし、文句をつけたい所もたくさんある!
まずストーリーはあまりにも稚拙だ。またマッドサイエンティストの犯行か…と今までのストーリーをなぞる様に繰り返される事件に辟易する。
10000人が2年ほど拘留され4000人近くの人が犠牲になり、それ以外の人も何らかの精神的な病理に蝕まれ生活に支障をきたしているであろう日本史上最大規模のテロ事件。
その最悪のテロリスト茅場晶彦の近しい人達や関係する組織を公安は全くノーマークなのか。
この映画の最後に総務省の関係を匂わす描写があるが、例え裏に何かしらの陰謀があったとしても、逆にSAO世界のスケールの小ささが際立つことになる。
同じ様な人間による同じ様な犯行を何度も許してしまう、全く反省も無く進歩も無いあの社会。あの人間たち。
そう、SAO世界は我々の住む現実と比べたら、あまりにも無能な社会にしか見えないのだ。
また、登場キャラの行動や思考回路が多分に難があり、我々に簡単に理解出来ないところも困りものだ。
キリトをはじめ登場人物の殆どが現在進行している事件に受動的過ぎて、あまり解決に寄与していない。肝心なところは電子妖精のユイに任せっきりであり、どちらかと云えばユイ無双な物語に見えてしまう。
更に、キリトが重要なファクターに気づかなくとも向こうから勝手に道筋を示してくれるという都合のいいストーリー運びなので、事件の謎を解く展開にカタルシスは生まれようが無い。
ヴァーチャルアイドルのユナに関しては蝶を羽ばたかせ、メタファーとして荘子の胡蝶の夢を使ったのは面白い処であるが、そこ止まりなのもいただけない。せめてクリストファー・ノーランのインセプション的な演出も加えれば良かったと思う。
そして最後のライブも手抜き感満載である。現代の初音ミクレベルの演出に愕然とする。せっかくCG技術も進歩しているのだから、マクロスプラス以上のものを目指して欲しかった。
他にも台詞まわしの微妙さや、オーディナルスケールがナーブギアやアミュスフィアと構造は一緒という最後の全員集結に向ける超御都合主義的設定や、重村教授の犯行動機の弱さなどなど言いたいことはまだまだあるが、上述のマイナス要素を差し引いても、やはり今までのキャラクターが勢ぞろいし戦う様は否が応にも燃えるものである。
松本零士の他作品キャラが登場する銀河鉄道999、水島新司作品が揃った大甲子園、横山光輝作品の夢の共演ジャイアントロボ等…もちろんマーベルシネマティックユニバースも然り。
それら名作を髣髴とさせるオールスター展開が出来得るのは、SAOが如何に魅力あるキャラクターを多く輩出し、多彩なシチュエーションを描いてきたかの証明とも云える。
チーム風林火山の見せ場や、最後のあのキャラの登場など、 {/netabare}とにかくこれでもか、これでもかとファンサービスに徹したこの作品。SAOシリーズに想いが強い人ほど入り込め、夢中になれるだろう。
事実、私は最後の戦闘で感極まって涙がこぼれてしまった。
映画館の大画面で観なければ損をすること間違いなし!の力作である。