◇fumi◆ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
女の子になりたい男の子 社会的テーマに挑戦しつつもやっぱり可愛い青春劇
2011年放送のテレビアニメ 全12話 ノイタミナ枠のため11話に編集して放送
原作 志村貴子 監督 あおきえい 構成 岡田摩里 キャラデザ 牧野竜一
制作 AIC Classic
原作単行本は、1~4巻が小学生編、5~12巻が中学生編、12~15巻が高校生編。
このテレビアニメ版は中学生編のみ。
長さから言って中学生編が本編なんですが、小学生編が削られたことによって、
物語に入り込み辛い構成になっています。
アニメ化の時点では高校生編はまだ途中。
コミックの販促アニメなので理解できるのですが、
社会的に重要なテーマを扱った作品なので、もうちょっと慎重に考えて欲しかった。
分割2クールで原作終了後に2クール目を作るのが正当だと思います。
漫画家志村貴子の商業デビュー短編作「ぼくはおんなのこ」を原型としたリアルな青春劇です。
初期短編「花」の主人公のトランスジェンダー「ユキ」も登場します。
二鳥修一 CV畠山航輔 中学生男子 一貫して「女の子になりたい男の子」
二鳥真穂 CV水樹奈々 中学生女子 修一の実姉 弟には複雑な感情
高槻よしの CV瀬戸麻沙美 中学生女子 男の子になりたい女の子⇒?
千葉さおり CV南里侑香 中学生女子 素直になれない美少女
佐々かなこ CV南條愛乃 年齢の割に小柄で幼い少女
主にこの五人で小学生編が描かれたのですが、
アニメ化の際にカットされて主人公の行動が唐突に感じられるようです。
ユキ CV本田貴子 男性から性転換して女性になった大人
という人が登場するのですが、出会いは小学生編です。
末広安那 CV堀江由衣 人気モデルの女子中学生 修一の彼女
声優に無理がありそうですが、大人びた中学生なのでまあ何とかです。
突然の展開で登場人物が多く、説明が無理な部分もありますが、
さすがは岡田摩里さんで、なんとか12話でまとめたというところです。
なぜ性同一性障害という状況になるのかはこの作品のテーマではなく、
その状況下での主人公と友人たちの青春群像劇と言うのが原作のテーマです。
二鳥くんと高槻さんの男女逆転カップルは可愛くて絵になりますが、
中学生の心情をリアルに描くと言うことで、可愛いだけではない揺れ動く感情が見どころです。
二人の幼い恋のすれ違い、末広安那という魅力的な少女の登場、
周囲の人々の想いを丁寧に描いた原作のほぼ半分のアニメ化と言うことで、
結局は原作を読めと言うことになるアニメ作品だと思います。
ちょっと変わり種の青春恋愛アニメに興味がある人にとっては価値があると思います。
原作押しだけでなく、スタッフにも魅力的な人材がそろっているので、
単独のアニメ作品としても一度は観て欲しい作品です。
性同一障害のデータの多くは隠蔽されている。
はっきりしていることは、人種や国にかかわらず必ず一定の割合で出現すると言うこと。
マイノリティの人権を守るためなのか、医者が儲けるためなのか、両方でしょうが。
現代社会に現実として存在するありように目を背けることなく描いた問題作。
と言うほどでは無いかもしれませんが、可愛いだけの青春群像劇ではありません。
最も真面目に男の娘について考えたアニメではありました。